【潜入レポ 前編】特別展「いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!」ができるまで
特別展「いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!」特集
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大きな口をぱっくりと開けたサメに、巨大ナマケモノ、海流に身をまかせるようになびくサンゴ、体長数ミリメートル程度の小さな小さなハチ。
多様性に富んだいきものたちが、国立科学博物館(以下、科博)上野本館に大集結する、特別展「いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!」(以下、「いきもの超ワールド展」)が2026年7月11日(土)から10月12日(月・祝)まで開催されています。
今回の国立科学博物館(以下、科博)の特別展は、NHKの人気自然ドキュメンタリー番組『ダーウィンが来た!』との共同企画! 科博が収蔵する標本・資料や研究成果はもちろんのこと、『ダーウィンが来た!』で撮影された貴重な映像も数多く展示されています。
「国立科学博物館といえば上野」というイメージ、ありませんか? 実は科博の骨幹は茨城県つくば市にあるのです。
上野の博物館は、自然史や科学技術史に関する研究成果や標本・資料を、展示を通じて多くの人に分かりやすく伝えることが使命です。
一方、筑波の施設は「研究施設」であると同時に「標本・資料の収蔵庫」としての機能も兼ね備えています。一般公開されている標本は全体のわずか2%であり、筑波研究施設に収蔵されている標本や資料の数はなんと490万点以上!
「いきもの超ワールド展」のような特別展では、普段、筑波でひっそりと眠っている膨大な数のコレクションの中から、総合監修の田島木綿子先生(以下、田島先生)のように特別展を監修する研究者が厳選した標本・資料を目にすることができます。
展示される標本や資料は、6月26日から7月3日にかけて筑波研究施設の自然史標本棟から上野本館へと出発し、搬入作業と展示準備は、7月2日から9日という短い期間で行われました。その作業はまさに時間との勝負。
そしてこの度、yomyom編集部はこの特別展が出来るまでの過程に潜入いたしました!
細心の注意を払いながら進められた搬出・搬入、そして綿密な展示作業に至るまで長い時間をかけて準備された、「いきもの超ワールド展」の魅力をご紹介します。(書き手:関瑶子、ライター&ビデオクリエイター)
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特別展はどれくらいの時間をかけて作られる?
科博の特別展は、テーマを変えて一年に3回ほど開催されており、普段は見ることのできない標本や資料に出会える、期間限定の特別な展示です。監修する研究者たちは、最新の研究成果や国内外の膨大な標本・資料の中からテーマにふさわしいものを選び抜き、一つの物語をつくり上げていきます。

「いきもの超ワールド展」では、陸、空、そして海で暮らすいきものたちの剥製や標本、さらには化石までが集結。NHKの人気自然ドキュメンタリー番組『ダーウィンが来た!』の迫力ある映像も加わり、驚きの世界を体感できます。
今回の特別展のテーマは「生き残り術の多様性」。「生きる」という共通の課題を、いきものたちは実にさまざまな方法で乗り越えてきました。大きな特徴は、いきものを分類ごとではなく、生き抜くために獲得した6つの戦略ごとに展示しているところです。
「いきもので異なる『五感』」では、「見る」「触る」「聴く」「嗅ぐ」「味わう」という感覚を取り上げ、「いきもので異なる『エネルギー補給』」では「食べる」ことに着目しています。
「いきものの挑戦『サイズ』適応術」には、いきものの多様な大きさの秘密を探るため、体が小さいものから大きいものまでが一堂に集結し、「いきもので異なる『移動』のかたち」では、歩く、飛ぶ、泳ぐだけでなく、他のいきものに運んでもらうなど、多岐におよぶ移動手段を取り扱っています。
さらに、「いきものに学ぶ『集団』の意義」では、群れる・群れないという行動をキーワードにいきものたちの生き残り術を見ていき、最後に「いきものが紡ぐ『命のバトン』」では、出会い・産む・育てる、の3つのシーンで「命を次世代につなぐ」という、いきもの共通の使命に迫っていきます。
特別展の主役は、大きな剥製や小さな昆虫標本そのものだけと捉えがちかもしれません。けれども、それらを通じて紹介されている「生き残るための多様な戦略」こそが、今回の特別展の主役なのです。

特別展は、どれくらいの時間をかけて作られるのでしょうか?
ほんの数カ月でできるものではありません。「いきもの超ワールド展」は3年もの歳月をかけて入念に準備され、無事、開催へと辿り着きました。先に書いた6つのテーマを決めるためには何回も会議を重ねたそうです。
テーマが決まってからは、監修する研究者たちがそのテーマに沿った標本や資料を、筑波研究施設にある約490万点の標本・資料の中から選び抜いていきます。ときには、国内外から標本・資料を取り寄せることも。
科博の標本や資料の多くは、上野ではなく、一般公開されていない筑波研究施設に大切に収蔵されています。

今回は、つくば市にある科博の研究施設から約400点もの標本・資料を上野へ運び込みます。搬出から搬入・展示準備にかけられる期間は、1週間ちょっと。
その舞台裏を支えるのは、研究者だけではありません。標本職人、剥製職人、模型職人、そして大小さまざまな標本や資料を丁寧に梱包し、輸送する作業を担う運送会社。それぞれの専門家たちの技術が集結して、ようやく一つの特別展が完成します。
そこでは、研究者も、職人も、運送スタッフも、それぞれが主役でした。


