【試し読み】960万部突破「しゃばけ」シリーズ最新刊『いつまで』③

【試し読み】960万部突破「しゃばけ」シリーズ最新作『いつまで』

更新

3

「探したのに、場久が見つからないぞ。何でだ?」
 長崎屋ゆかりの妖達が、一斉に動いたというのに、場久の行方は分からなかった。翌日になっても、三日経っても、悪夢を食う獏は、姿を見せなかったのだ。
 場久が行方知れずになってから七日目、小鬼達の何匹かが、不安になって鳴きだし、皆は長崎屋の離れに集まると、心配を口にする。妖達は七日も見つからない事に、さすがに驚いていた。
「場久さんに、何が起きたんだろ? 無事でいるんだろうか」
「きゅい、無事じゃなかったら、どうなってるの?」
「きゅべ、きっとご飯、食べてない」
 鳴家が鳴き、他の妖達も、違うとは言わなかった。何しろ宴会の日以来、場久は、寄席にすら行っていないのだ。
 もっとも仕事の方は大丈夫、不義理にはなっていないと、火幻がここで言った。
「寄席の主達へ、場久は麻疹はしかかかったと伝えておきました」
 麻疹は、それはうつりやすい病だから、当分、人に会うのは無理だ。場久は一軒家へ籠もっている事にしたのだ。
「居なくなった日の朝、場久は、何も言ってなかったんだろ? つまりさ、自分から消えた訳じゃ、ないと思うぞ」
 屏風のぞきが言い、皆が頷く。ただ、その後、話はなかなか進まないのだ。
「場久は誰か、大物の妖の夢を食べてしまって、勝手をするなと、山奥にでも連れて行かれたのかも知れん。それとも、川にでも落とされて、流れて行っちまったのかも」
 おしろは屏風のぞきの考えを知り、不安になったので、ぎつね達に頼み、王子おうじ稲荷いなり神社を通して、天狗てんぐに会ってみたと話し出した。

「六日ほど前に、山奥へ連れて行かれた妖がいないか、聞いたんです。天狗のろっ/ろぼうさん達、親切に探してくれました」
 しかし天狗達は山で、場久を見つけられなかった。
「川は、私、鈴彦姫が調べておきました」
 河童かっぱに頼んだのだ。ただ。