「顔面注射」を韓国でやってみた “ほんの少量”の「274回注入」でも凄まじい痛みを味わう
『美人までの階段1000段あってもう潰れそうだけどこのシートマスクを信じてる』刊行記念特集
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「美容都市ソウル」に赴任したアジア系アメリカ人の女性記者、エリース・ヒューさんは、たちまち美容沼にはまった。そして自分を“改善”していく。
美容皮膚科、美容整形クリニックが立ち並ぶソウル市の江南(カンナム)にある〈オラクル・クリニック〉を訪ねたエリースさんは、顔面注射を受けることにした。その顛末を、エリースさんの著書『美人までの階段1000段あってもう潰れそうだけどこのシートマスクを信じてる』(金井真弓/訳、桑畑優香/韓国語監修)から紹介する(以下、同書より引用)。
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混み合う〈オラクル・クリニック〉
クリニックのロビーは、小さな丸テーブルを挟んで座る患者や受付スタッフで相変わらずにぎわっていた。今では顔の下半分がマスクで隠れた彼らは、やはり問診票の上にかがみ込んでいる。
韓国の有名人が〈オラクル・クリニック〉の施術を推薦する宣伝ビデオが、壁掛け式のテレビで無音再生されていた。テレビの下には3列になったパンフレットがずらりと並び、さながら低価格のホテルのロビーで見られる観光案内の冊子のようだった。そういうパンフレットはわたしが一度も聞いたことがなかったさまざまな施術を紹介していた。
「アラジンピーリング[海洋成分を主としたピーリング]」「テンセラ[高密度焦点式超音波]」「Ⅴビーム」「ウルトラ・パルス・アンコア[炭酸ガスレーザー]」。「ブルーピール」。「コグ付きスレッドリフト」。「炭酸ガス」。いくつかのパンフレットには、現在は一般的になった美容注射の詳細が載っていた。さまざまなブランド名のボトックスやフィラーといったものだ。
アメリカでは受けられない〈リジュラン注射〉

韓国での注入治療は、この数年で格段に進歩していた。今や同クリニックでは侵襲的な鼻整形や頬の脂肪除去、脂肪吸引の成果をあげられるようになった。韓国に着いてから、わたしは「シャネル・フェイシャル」について何人かが口にするのを耳にした。これは高級服のメーカーに因んで名づけられた注入治療で、アメリカでは受けられない治療だ。
尋ねてみると、「シャネル・フェイシャル」はもう流行遅れだと受付スタッフは答えた。今流行している顔用のカクテル注射[複数の成分を調合した美容注射]は〈リジュラン〉だという。
〈リジュラン〉は「ヒーラー」だ。このような注入美容はやはりアメリカで受けられない。ヒーラーは「レスチレン」や「ジュビダーム」のような、顔の部分にボリュームを加える充填剤とは違う。〈リジュラン〉はサーモンのDNA(人間のDNAと非常に似ていると言われる)成分を使用して肌の弾力性を改善し、ダメージを受けた肌を回復させる。ボトックスのように顔の筋肉に打つのではなく、皮下に直接、注入するのだ。
「あなたは使っているんですか?」わたしはドクター・シン・ヘウォンという〈オラクル〉のベテラン皮膚科医に尋ねた。
「ええ、もちろん、使っていますよ。3カ月か4カ月ごとに注入しています」彼女は言った。
「〈リジュラン〉にはほとんどの人が痛みを感じると聞いていますが」わたしは応じた。
「そう、その点が最悪ですね。とても痛いんです」しかし、と彼女は言った。自分がそれを選ぶのは「効果があるからですよ」と。
「ほんの少量」注入しよう
わたしはドクター・シンをまじまじと見ながら考えた。おそらく〈リジュラン〉の効果だろう、チョークのように白い肌となめらかな顔。それを表現するのに最適な言葉は、彼女が防腐処置を施されているように見えたというものだ。「とても痛い」というサーモンのDNAのシロモノをわたしが試したがらなかったので、〈オラクル〉のコーディネーターと皮膚科医は相談して、眉間に現れ出したシワと、額に見えているシワには従来のボトックスを「ほんの少量」注入しようと決めた。
ボトックスはシワをつくる、額を上下に動かす筋肉を緩める効果がある。だが、彼らはその後、眉から下のすべての部分に「スキンボトックス」と呼ばれる、認可されていないボトックス注射を勧めてきた。スキンボトックスはボトックスと同じ成分をごく少量、皮膚の深い部分にではなく、浅い部分に注射するものだという。顔の筋肉にではなく、皮膚組織に注入することで毛穴が引き締まる。
そのうえ、彼らは〈ピンク注射〉と呼ばれるハイドロインジェクションを打つつもりだった。これは保湿剤やビタミン、それに肌が若返って栄養が与えられるのを助けるヒアルロン酸と呼ばれる流行の保湿剤を混合したもの。ハイドロインジェクションは実質的に保湿剤を肌に注入し、皮膚に擦り込む手間をなくしてくれる。
目標は常に「もっと若く」見えるようにすること。哲学者のウィドウズが指摘しているように、世界じゅうの美のプロジェクトが目指す方向は細さ、引き締まっていること、なめらかさ、若さなのだ。
麻酔クリームを顔じゅうに塗った患者でいっぱいの、見覚えのあるロビーを歩いていったあと、わたしは既視感を味わった。5年前、毛穴吸引を受けたのとよく似た狭い施術室に案内されたのだ。わたしは施術台によじ登り、横たわった。
「準備はいいですか?」ドクター・シンは手袋をはめた手で最初の細い注射器を取り上げながら言った。
わたしはたじろぎながら「オーケイです」と言った。
火のついた短剣で突き刺されている

どこにシワができるか見たいので、顔をしかめてくれと言われた。それからドクター・シンは念入りにわたしの額全体に注射し、目の下の部分に移り、鼻以外は顔のすべてに針を刺して、手を休めたのは吹き出た血をティッシュで軽く叩いたときだけだった。
注射が1本終わるごとに、金属製の皿に置かれた注射器のカチャカチャという音がした。医師は〈ピンク注射〉(どうにか耐えられた)から、別名をスキンボトックスというダーマトキシンの注入に移り、顎の輪郭に沿って打った。火のついた小さな短剣で突き刺されているように感じ、顔の左側が終わったとき、わたしはやめてくれと言いそうになった。
「成分によって痛みも変わります」と医師は説明した。「これは〈リジュラン〉に最も似ているものです」
ドクター・シンは合計で274回、針を刺し、わたしの顔には目の下から顎の輪郭まで隆起した小さな点が線となって残った。この注入治療は合計で625ドルだった。イギリスやオーストラリアで(アメリカでは合法な治療ではない)かかる金額のごく一部にすぎない。ドクター・シンの話によると、効果はせいぜい2カ月ということだった。だから、人々は特別なイベントの前にここに来て注入してもらう。髪をブローしてもらうとか、プロにメイクアップしてもらうようなものだ。
最後に100回ほど針を刺されたときは、あらかじめ麻酔クリームを顔じゅうに塗られていたのに、耐えられないほどだった。「こんな思いをするのは何のためでしょうね?」わたしは最後に泣き言を言った。
「ほんの少し美しくなるためじゃないですか?」ドクター・シンはどうでもいいとばかりに肩をすくめて言った。
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3月3日(月)公開の【韓国では何より「脚」が重要でボトックス注入も…元K-POP女性アイドルが明かす「1日10回」の異常な体重管理】では、エリースさんが元K-POPアイドル練習生に取材して得た証言をお伝えします。








