本屋大賞作家・瀬尾まいこ初の料理小説が誕生! 料理と作品に込める思いとは——。

心もおなかもあたたまる、幸せごほうび小説! 瀬尾まいこ『はじまりのスープ、夏ゼリー』刊行記念特集

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『そして、バトンは渡された』で2019年に本屋大賞を受賞、26年には『ありか』が本屋大賞7位となり、「yomyom」での連載エッセイ「それでもやっぱりすてきな明日」も大人気の瀬尾まいこさん。

 瀬尾さんの小説にはいつもおいしいものが登場します。

『天国はまだ遠く』で、自殺に失敗して丸一日眠った翌朝の「味噌汁とご飯、白菜の漬け物、卵焼き、鰺の干物」というシンプルな献立。『あと少し、もう少し』でおばあちゃんが作る、海苔を挟んだ分厚いだし巻き卵のお弁当。『君が夏を走らせる』では主人公の大田がとても丁寧に料理をする姿が描かれています。

 そんな瀬尾さん待望の最新刊『はじまりのスープ、夏ゼリー』が7月29日に刊行されました。

 今作にも、つぶれそうな食堂のオリジナル親子丼、涙が止まらない海の味のスープ、ごはんをお代わりさせる豚キムチなど沢山の美味しいものが登場。主人公である中森リリーの作る料理が、人の心をつなぎ直していきます。

 読むとおなかが空くこと間違いなしの本作について、瀬尾さんにじっくりお話を伺いました。「yomyom」のためのスペシャルインタビューをお楽しみください。
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―瀬尾さんの小説にはいつもたくさんのおいしいものが溢れて、その描写は忘れられません。なので、刊行前に書店員さんへ宛てて書かれたお手紙の【今回初めて、料理や食事を中心において執筆しました】という一文は、とても意外でした。今回はなぜ、料理を中心に書いてみようと思われたのでしょうか。

瀬尾 最近、ママ友と話すと夕飯のことが話題になることが多いです。
 買い物して、お弁当や給食と重ならないように献立を考えて、作って…。誰に強いられているわけではないのに、きちんと作らないことに罪悪感があったり、長年作っているうちに自分の味に飽きてきたり。だけど、食べる人の「おいしい」「また食べたい」って言葉だけで、うれしくもなったりする。
 もう一度、料理を純粋にあれこれ楽しんでみたいなという気持ちがあったのかもしれません。

―「レトルトを使って良い」というメッセージは毎日の献立に悩む人々の救いになります。また、食欲の落ちがちな今の季節にぴったりのおかずやデザートがたくさん登場するのもありがたく、読みながら「今夜のおかずはこれだ!」と真似したくなりました。作中のお料理は瀬尾さんご自身もよく作られるのでしょうか。ずばり、瀬尾さんはお料理は好きですか?

瀬尾 何十年も料理をしてきて、いろんな時期があります。変わった料理を作ってみたい時期とか、凝ってみたりとか、時短に挑戦したり。
 料理が好きだった時もありますが、今は子どもと夫がいるので、毎日襲ってくる料理にイヤイヤ期です。
 自分にも冷凍やレトルトで全然いい、って言い聞かせています。
 ゼリーはよく作ります。ゼラチンを溶かすだけできれいに出来て楽しくなります。

―つぶれそうな食堂の看板メニューを開発するため大将と試行錯誤しながら親子丼を作るシーン、すごくお腹が空きました。筑前煮を使ったアレンジはすごく斬新でしたが根菜が親子丼に合わないというのもリアルで、これは実際に試されたのでしょうか?

瀬尾 お店をどうやって黒字にするのかをリリーと考えるのは、すごく楽しかったです。お店の経営などしたことがないので。
 親子丼をお店の売りにしようと決めてから、リリーと一緒に頭の中でどんな風にすればいいのか考えました。実際には試してないですけれど、根菜は、もこもこして合わないだろうなと思いました。