芥川賞作家綿矢りさ 3姉妹に様々な女性の生き方を託した新作について語る 現代版『細雪』との声も

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 10月1日放送のTBS「王様のブランチ」のブックコーナーに小説家の綿矢りささん(32)が出演した。最新作『手のひらの京』(新潮社)がとりあげられ、綿矢さんの京都への思いが語られた。

■現代版『細雪』

 綿矢さんは2004年『蹴りたい背中』(河出書房新社)で第130回芥川賞を史上最年少の19歳で受賞。その後も話題作を次々と発表。今作『手のひらの京』は京都を舞台に3人の姉妹を描いた現代版『細雪』(谷崎潤一郎[著])。おっとりした長女の綾香、恋愛体質の次女の羽依、大学院で研究に没頭する三女の凜。彼女たちが結婚、恋愛、進路などに悩み、自分の道を模索し続ける様が、四季折々の京都を舞台に情緒豊かに描かれている。

■守られている京都

 この日のロケは綿矢さんの出身地でもある京都で行われた。綿矢さんは京都を舞台にした理由を、2年前に結婚をし京都から離れてしまい、住んでいた時よりも懐かしく寂しい気持ちになったから、と明かす。自身も小説が書けなくなった際、散歩して気分転換をしていたという鴨川を案内しながら「散歩をしているとプレッシャーも流れて行き、書きたいものが見えてきた」と当時を振り返った。

 同作のなかで綿矢さんは京都について「よく言えば守られてるし、悪く言えば囲まれている」と表現している。番組でも「京都を大事にする人々の意識の集合体に守られている。また山に囲まれている地理的なものや、平安京の時代からの歴史もある」と語り、京都独特の閉塞感を「守られている」と表現していた。

■さまざまな女性の思いを3姉妹に託す

 また今作の主人公を三姉妹にした理由を「年齢によって女の人の悩みや気持ちが向いていることが違う。それぞれの年代によっての心の動きを3姉妹としてあらわした」と語る。綿矢さんの思いが最も投影されたのが三女の凛。凛は京都に閉塞感を感じ、就職を機に東京に行きたいと考える。綿矢さんも高校生の時に上京しており「京都が好きだけど、ここから一旦離れるぞという成長を京都を通して書きたかった」と自身の境遇に重ねながら語った。

■深いところを知っているからこそ

 番組解説者で早稲田大学文学学術院准教授の市川真人さんは「3姉妹それぞれの京都が描かれている」と解説。保守的な長女からしてみたら古き良き町。奔放な次女からは好きなところ悪いところも見え、悪口を言いながらも離れられない町。成長過程の次女にとっては自分を囲んで守ってくれるが、小さな町に見える。それぞれの見え方があって面白いと語った。

 番組MCの新川優愛さん(22)も「私たちからするとあんな素敵なところに住んでいられて、と思いがちですけれど、私たちの知らない京都の深いところを知っているからこそ出てくる言葉なのかな」と京都では見られないものをみたいという三女の言葉に感じ入っていた。

「王様のブランチ」はTBSにて毎週土曜日9:30から放送中。

Book Bang編集部
2016年10月4日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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