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- これが「買い」だ
- 価格:1,430円(税込)
6月5日NHKラジオ第1「マイあさラジオ」のコーナー「著者に聞きたい本のツボ」に『これが「買い」だ:私のキュレーション術』(新潮社)を上梓した成毛眞さん(60)が出演した。成毛さんの「逆張りの思考」がたっぷりと解説された刺激的な放送になった。
■気楽に生きるためのヒント
成毛さんはかつてはマイクロソフトの社長を務め、現在は書評サイト「HONZ」の代表を務めている。『これが「買い」だ:私のキュレーション術』は世間の逆を行く思考法「逆張りの思考」に基づき物事の選別の仕方、日常、社会を変えるアイデアについて、成毛さんならではのアイデアがたっぷりと紹介されたエッセイ集。成毛さん自身は同書は「気楽に生きるためのヒント集」と紹介し、「逆張りの思考」こそ楽に生きるヒントだ、と執筆の動機を語った。
■「逆張り」だからこそ成功した
成毛さんはまず「天邪鬼な人が成功する」と説いた。世界第1位の大金持ちビル・ゲイツは誰もが大企業を志望する時代にベンチャー企業を興した。2番目の大金持ち、ウォーレン・バフェットはここ最近ITの時代だと言われているのに、古いコカ・コーラなどの企業に投資をしている。彼らは人とは違う「逆張り」をして大金持ちになった、と人と同じ道を歩んでいては成功できないと解説した。
■メディアはストレートニュースを提供する
成毛さんは同書でメディアや書店の未来についても論じている。そして新聞の購読を中止したと明かす。新聞そのものがコラムや解説、記者の見方などの記事が増えており、それでは新聞を読む理由がないと述べる。替わりに読むようになったのが、5W1Hを押さえたストレートニュースを提供する雑誌社のネットメディアだという。これまで雑誌は深掘りやオピニオンが求められてきた。そのなかでストレートニュースを多数扱うということはまさに「逆張り」。ネットやSNSの発展により誰もが意見を発信できるようになり、メディアはディスカッションをするための「ネタ」としてストレートニュースを提供する。それがこれからの潮流になるかもしれない、と自説を語った。
■日本人に必要な「質問力」
また日本人のビジネススキルについてもとりあげている。アメリカ人に比べると日本人は基本的な「質問力」がないという。日本人は意味のある質問か、相手から帰ってくる答えが予想できるような質問しかしないという。アメリカの企業では難しい用語の「言葉の意味を教えてください」などのプリミティブな質問がよくあるという。その結果ディスカッションが深まることがあると語り、素朴な質問で相手から見透かされることを恐れず疑問に思ったことをどんどんと質問したほうがよいと述べた。
■AI化で奪われる仕事は「単純労働」ではない
またIT化、AI化できない部分にビジネスチャンスがあるとも述べる。AIの発達により、ロボットに仕事を奪われる可能性が出てきたが、実は警戒すべき仕事は単純労働ではなく、多くの人が従事している仕事だと語った。例としてタクシー運転手や職人をあげた。日本に10人しかいない職人をロボットに置き換えても莫大な富が生まれるとは考えづらい。しかしタクシーを自動運転に替えるなど、より多くの人が就いている仕事をロボットに置き換えてこそ経営者には旨みがあり、そういった部分のAI化が進むだろうと予想した。
■成功を待つ「鈍さ」が必要
そして最後に時間がかかることは悪いことではないと論を展開した。「逆張りの思考」は誰もやっていないことをやるため結果が出るまでに時間がかかることがあると話し、「待つ能力」が大事だと語る。そして待つことや失敗に気付かない「鈍さ」が必要だとも述べた。
NHKラジオ第1「マイあさラジオ」のコーナー「著者に聞きたい本のツボ」は毎週日曜6時40分ごろに放送。コーナーはNHKのウェブサイト(http://www4.nhk.or.jp/r-asa/340/)でも聞くことができる。
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