芥川賞作家・羽田圭介がテレビに出る理由は「あえてひんしゅくを買いに行く」

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 大竹まことさん(67)が司会を務める文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ!」のコーナー「大竹メインディッシュ」に6月15日、作家の羽田圭介さん(30)が出演した。芥川賞受賞後テレビでも引っ張りだこの羽田さんが作家がテレビに出る意義について語った。

■テレビに出たからって……

 芥川賞受賞以来その率直なキャラクターが受け、テレビで見かける事の多い羽田さん。大竹さんにバラエティに出ることはどうなの? と問われ、羽田さんは「最初はテレビで宣伝すれば本がすごく売れると思っていた。しかし一定のところまでは売れるんだけど、そこまで行ってしまうとテレビで宣伝したからって売れるわけではない」とテレビと作家の関係について語り出した。そして「すごく売れている人気作家がテレビに出るとイメージが崩れて売れなくなるらしい」と作家自身の情報をコントロールし、恰好のよい面だけを見せて本を売る方法もあると話した。しかし自分はテレビに出なくなったら売れない作家に戻るだけなので、その戦略は無理だと自虐的に語った。

■バラエティ慣れしていた自分に愕然

 大竹さんは今年2月に文庫化された羽田さんの『隠し事』(河出書房新社)のなかのテレビ慣れしていない女優が登場するシーンを、羽田さんを投影して読んだと話した。小説の前半でその女優はバラエティ番組では違和感のある存在だが、後半になると「場慣れ」しテレビに馴染んでゆく。羽田さんは同書は自分がテレビに出ると思っていなかったころに書いた作品だが、そのような傾向は自分にもみられると語る。ロケの番組で素人らしく正直に振舞おうとしていたが「バラエティ向けの演技はしなくていいので、自然にしてください」と言われ、自分が染まっていたことに愕然としたという。

■あえてひんしゅくを買いに行く

 同書を書いたころはテレビのなかの虚構性について批判的に書いていた。しかしそれでも羽田さんがテレビに出続けるモチベーションにしているのは「進んでひんしゅくを買うことをやろうと思っている」と明かし、その意図を解説した。「近代文学の文豪はひんしゅくを買うことをやり、世間から批判され、それを小説に昇華させていた。現代では芸人がその役割を負っているが、小説家の自分がそれに近いことをやってもいいのかなと思っている。小説家がテレビに出ると業界からは『なんだアイツ』という感じがあるので、それを進んでやったほうが得るものがあるんじゃないか」とあえて業界のなかで異端でいようとしていると明かした。また前掲の「自分の情報をコントロールする作家」は多すぎるので、同じ方法をとってもレッドオーシャン(競争の激しい市場)なので難しい、と作家としての戦略も赤裸々に打ち明けた。

■男は女の携帯電話を覗いてはいけない

 羽田さんの『隠し事』は携帯電話の覗き見から始まる男と女の心理戦を描いた「家庭内ストーキング小説」。ネット上のレビューやSNS上では「ねちっこくて面白い」や「気付かない方がいいこともある」「スケールの小さな戦いだが心理描写がとてつもなくリアル」などの感想が並んでおり、心の機微を書くことに長けた羽田さんの特徴が遺憾なく発揮された作品だと話題になっている。

「大竹まこと ゴールデンラジオ!」は文化放送にて月曜から金曜午後1時から放送中。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年6月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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