【児童書】『ぼくは、ういてる。』なかがわちひろ作
[レビュアー] 産経新聞社
一平くんは、時々「ういている」。時々で違うけれど、地面から大体20、30センチくらい。何かに夢中になっているときにうきやすい。大人や友達には、ぼんやりしているように見えるみたいで、叱られたり、笑われたりする。でも嫌なことばかりじゃない。胸の中に風船があるみたいでスキップはしやすいし、視線が高いから思いがけない景色が見えるのだ。あるとき、一平くんは自分と同じように「ういている」女の子に気づいて…。
深く沈み込んでは、軽やかに浮き立つ。揺れる心の動きを、やさしい色調の絵とともに描く。ほんのりと心が温まる出会いの物語。(のら書店・1650円)