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- 最後の秘境東京藝大 : 天才たちのカオスな日常
- 価格:649円(税込)
作家の高橋源一郎(65)さんが司会を務めるNHKラジオ第1の「すっぴん!」(9月30日放送回)のコーナー「源ちゃんのゲンダイ国語」で、東京藝術大学に集う芸術家の卵たちの奇妙な生態を描いた『最後の秘境 東京藝大―天才たちのカオスな日常―』二宮敦人[著](新潮社)がとりあげられた。
■売れてます!
同書は現在Amazonの高等教育部門でベストセラー第1位となっており、とても売れているとの報に高橋さんは「これは面白いわ」と納得したようす。そして「今の世の中は『変わった人(奇人変人)』が住みにくくなってきた。そういう人は淘汰されて、特別天然記念物みたいになりつつある。しかしそういう人が集団でいるところがある」と天才たちが集う「芸術界の東大」を紹介した。
著者の二宮さんは妻が現役の藝大生。妻のおかしさから他の藝大生へも興味が広がり、妻を案内役として藝大での取材をはじめた。才能が試される特異な入学試験や専攻ごとの藝大生の特徴、音校(音楽学校)と美校(美術学校)の違いなど、藝大のカオスな実情が描かれている。
■両極端な音校と美校
同書の中から高橋さんがまず注目したのは、音校と美校の文化の違い。なにごとにも自由なのが美校で厳格なのが音校。それをよくあらわしているのがそれぞれの教授会。ある日の美校の教授会では1人を除いて全員が遅刻をしていたという。しかし音校は時間厳守が絶対。生徒たちはレッスンの30分前には揃い部屋や楽器の準備をしている。教授たちも同様で会議が始まる前には全員揃っているという。
また音校の生徒たちは人前で演奏をするため、きちんとしたみなりをしているが、美校の生徒たちは作業が多いため基本的にはジャージ。高橋さんは「考えてみたら美術の方と音楽の方では全く違う。両極端が揃ってる」と多様な側面をもつ藝大に関心をあらわしていた。
■藝大生の進路は……
とりあげられる藝大生は口笛の世界チャンピオン、パフォーマーとともに「つけぼくろ」で悩み相談をする者、ブラジャーを仮面に究極の美を追究する者、水中に沈めた楽器を演奏する者等々、奇人変人ばかり。そこまで藝大を調べてきた二宮さんが最後に心配になったのは「彼らが卒業してからどうしているのか?」ということ。ある人から「半分くらいは行方不明よ」と言われ驚愕する。まさかと思い調べてみると、平成27年度の卒業生486名中225名が進路未定だったという。
高橋さんは「芸術的表現ってのは『変わってる』と紙一重。みんなと同じじゃダメ。普通の社会ではやりにくい。それを学校で許されてやれるっていうのはいいと思うなあ。こういう場所がたくさんあるといいのに」と偉大な芸術家を何名も生み出してきた藝大に敬意を表した。
「すっぴん!」はNHKラジオ第1放送にて月曜から金曜8:05から日替わりのパーソナリティーで放送中。高橋源一郎さんは金曜日を担当している。「源ちゃんのゲンダイ国語」のコーナーはNHKラジオ第1のウェブサイトのストリーミング(http://www.nhk.or.jp/suppin/streaming.html)放送でも聞くことができる。
※本記事は単行本『最後の秘境 東京藝大―天才たちのカオスな日常―』刊行当時のものになります
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