谷原章介「目で見えるものが全てだとは限らない」謎めいた森見登美彦最新作『夜行』を賞賛

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 10月29日放送のTBS「王様のブランチ」のブックコーナーに小説家の森見登美彦さんが出演し、森見さんの最新作『夜行』(小学館)がとりあげられた。

■『夜は短し歩けよ乙女』の森見登美彦最新作

『夜行』は青春小説にファンタジー・怪談の要素を盛り込んだ森見さんの最高傑作。10年前に鞍馬の火祭りの夜、一人の女性が姿を消す。その後女性の友人たちはそれぞれの旅先で奇妙な体験をする。10年ぶりに鞍馬に集まった友人たちがそれぞれの体験を話しだすとある共通点が浮かび上がる。訪れた旅先は違うのに全員が、岸田道生という画家が描いた「夜行」という絵と出会っていた。そこには失踪した女性によく似た姿が描かれていた。謎が謎を呼び最後には驚きの結末が訪れる。

■森見さんが描きたかったこと

 京都や天竜峡、飛騨や津軽など日本各地が舞台となっているこの物語。そのひとつである広島尾道でインタビューに応じた森見さんは物語を書くために何度も訪れたと語る。「どこに通じてるかわからない横道が大好き。尾道の街はその集合体。横道と坂道が迷路のようになっている」と述べ、「普段の日常生活では見えない世界に到着してしまうような雰囲気」があると尾道の風景に異世界との境界線をイメージしたと語った。

 また森見さんは「僕はミステリーが書けない。謎をちゃんと解決しない。そこに何かがあることはわかり、手触りはしっかりするのだけれど、最終的に謎はそこにある」と語り、今作の答えも「もしかしたらこういうことかなくらいのレベル」と読者がその先を自由に考えられる結末となっていることを明かした。

■世界は常に夜なのよ

 番組解説者で早稲田大学文学学術院准教授の市川真人さんは、作中に何度も出てくる「世界は常に夜なのよ」という一文に注目し、「世界の半分は常に夜。ここは朝でも地球の裏側には夜を過ごしている人がいて、その見えない中で何かが起きている。僕たちの人生のなかでも明るく見せていても闇があり、そこで色々なことが起きている」と作品を貫く大事な言葉を解説した。

 そして「その意味がラストになってドーンとわかる。ある種、怪談的な楽しさの決着がいいです」と驚きの結末を示唆すると、番組MCの谷原章介さん(44)も「目で見えるものが全てだとは限らない」と今作の恐ろしさを語った。

王様のブランチ」はTBSにて毎週土曜日9:30から放送中。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年11月1日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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