『3日ずつのおくりもの』
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【児童書】『3日ずつのおくりもの』レミ・クルジョン作、こだましおり訳
[レビュアー] 産経新聞社
子うさぎリトルのひいおじいさん、ホープは顔はしわくちゃ、腰も曲がっているが、とても長寿だ。なぜなら、みんなが毎年誕生日プレゼントとして「3日ずつ よぶんに ながいきしてほしい」と願ってくれているから。
でもホープじいさんはある日、畑仕事を手伝うリトルにこう告げる。「3日ずつ ながいきするように ねがうのは、もう やめてくれ」。次の誕生日には本やCDやDVDがいい、もう十分長生きしたよ、と。
みんなはホープじいさんの願いを聞き入れた。じいさんはリトルに、大好きな本や音楽や映画のことを、楽しそうに話してきかせてくれた。
見送る者と見送られる者。家族や友人たちには長生きしてほしいと誰もが思う。でも、充実した生とは何か、尊厳のある最期とは…と考えると、容易に答えは出ない。フランス人の作者は、軽快なタッチの絵と温かい物語によって、生と死をめぐる問いを読者に投げかけている。親子で考えるきっかけになりそうだ。(文溪堂・1500円+税)