[本屋大賞]宮下奈都が目指す文章とは? 『羊と鋼の森』読者必読の随筆が明かされる

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 2016年本屋大賞を受賞した『羊と鋼の森』(文藝春秋)の著者・宮下奈都さんが4月24日NHKラジオ第1「マイあさラジオ」のコーナー「著者に聞きたい本のツボ」に出演した。宮下さんの目指す文章や今の心境が明かされた貴重な放送となった。

■50万部突破

『羊と鋼の森』は初版6000部ではじまり、現在の発行部数は50万部を超えている。宮下さんは「数字は全然ぴんとこない」と話し、「すっかり私の手を離れ、皆さんそれぞれ自分の体験に合わせて読んでくださって、皆さんのところで愛してもらって、よかったねという感じです」と現在の心境を語った。

■人生が変わる瞬間

 物語は主人公の「僕」が高校の体育館で調律師がピアノの調律をしているところに出会うシーンからはじまる。このときのピアノの音が「僕」の人生を大きく変えるんですね、と尋ねられた宮下さんは「私はもともと誰かの人生が変わる瞬間、立ちあがる瞬間にすごく興味があった。ある日突然出会って人生が変わる、まずはそういうものを書きたいなというところからはじまった。(そのシーンは)他の人にとってみたらどうってことない瞬間だが、彼にとっては劇的で人生が変わる瞬間だった」と物語のはじまりを解説した。

■宮下さんの目指す文章

 番組ではその後も物語の筋書きに沿って宮下さんの思いが語られた。調律師となった「僕」が目標とする調律師・板鳥に「どんな音を目指していますか」と問うと、板鳥はそこで詩人・原民喜の言葉を引用し答える。「明るく静かに澄んで懐しい文体、少しは甘えてゐるやうでありながら、きびしく深いものを湛へてゐる文体、夢のやうに美しいが現実のやうにたしかな文体」(随筆「沙漠の花」より)この文章は宮下さん自身が感銘を受け、自分が目指しているのはこういう文章だと手帳に書き留めていたものだったと明かされた。

■人生に光が差す瞬間

 宮下さんは最後に創作において心がけている事をあげた。「ドラマというよりはささやかな人生の一場面を切り取りたい。地道な人生にもさっと光が差す瞬間が訪れる。そこを書きたい。そこに嘘がないように誠実に書いてゆきたい」とインタビューを締めくくった。

 NHKラジオ第1「マイあさラジオ」のコーナー「著者に聞きたい本のツボ」は毎週日曜6時40分ごろに放送。聞き手は高市佳明アナウンサー(43)。コーナーはNHKのウェブサイト(http://www4.nhk.or.jp/r-asa/340/)でも聞くことができる。

Book Bang編集部
2016年4月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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