『弥生人はどこから来たのか』藤尾慎一郎著
[レビュアー] 産経新聞社
高校日本史の教科書改訂で、弥生時代の始まりが400年余り早まった。要因は、炭化物を試料とする年代測定法など自然科学の手法の導入。研究成果の発表から改訂までに20年かかったそうだ。
本書では縄文晩期から弥生前期末を中心に、最新科学が先史時代をどう解明してきたかをたどっている。例えば、異なるルーツを持つ縄文人と渡来人が混血を続けて現代日本人が形成されたとする定説は、核ゲノム(遺伝情報)分析によって揺らいでいる。このほか、水田稲作が始まった当時の気候や、水田稲作以前に穀物が存在していたかを調べる手法なども取り上げた。(吉川弘文館・1870円)