詩集が1150万部を超える詩人・銀色夏生 メディアに登場しなかったワケを語る

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 11月27日NHKラジオ第1「マイあさラジオ」のコーナー「著者に聞きたい本のツボ」に詩人の銀色夏生さんが出演した。銀色さんが当初メディアに出演しなかった理由や詩作についての考えがたっぷりと語られた。また自作の朗読も行われた貴重な放送となった。

■朗読のための詩集

 銀色さんの最新作『ひかりのいと 朗読のための自選詩集』(KAKOKAWA)は著者自身が朗読するためにこれまで発表した作品のなかから選び、編んだ詩集。銀色さんは1983年に作詞家としてデビューした女性詩人。85年詩集『黄昏国』(河出書房新社)を発表。以来ベストセラー詩集を立て続けに発表し、現在までに詩集の発行部数は1150万部を超えている。

■メディアに登場しなかったワケ

 デビューからしばらくは本人がメディアに登場することはなかった銀色さん。しかし最近では雑誌・テレビ・ラジオなどのメディアに登場することもある。そこにはどのような心の変化があったのかと、高市佳明アナウンサー(44)に問われた銀色さんは「そこに私が出る必要はないと思っていた。作品を見てもらいたかったので。私にとっては私が出ないことが普通。読んだ人が詩のなかの主人公になってほしかったんです」と語る。そして「もし私が人間みたいな感じででると、この人が書いたんだ、と思うじゃないですか。それは絶対にしたくなくて、読んだ人のものであってほしかった。そのため人間ぽくない男か女かわからないペンネームにした」とミステリアスな詩人であり続けた意図を明かした。

■朗読について

 数年前まで詩の朗読が嫌いだったと明かした銀色さん。それまでは「大勢の人前で大きな声で通る声ではっきりと朗読しないといけないと思っていた」という先入観があったという。しかし「好きなやり方でやってもいいような気がして。隣の友達に小さな声で話しかけるような。そのときすごくいい気持ちになった」と心境の変化を語った。

 銀色さんは詩を書く際「ある感情が空中かどこかにあり、そこに行って詩を書いている」という。そして朗読をしたとき「書いた時の気持ちをもう一度感じる事が出来た」と振り返った。また声だけでしか伝えられないものがある気がするともコメントした。

■銀色夏生本人による朗読

 番組では銀色さんの詩がいくつか紹介され、銀色さんの詩の多くで主題となる「恋愛」や、その中で使われる言葉について、また読者の多くが「救われた」と語る銀色さんの詩作の根底にある考え方がたっぷりと語られた。

 番組最後には銀色さんによる朗読も行われた。銀色さんが静かに誠実な声で自作を詠みあげると、朝の明るいラジオ番組は一転気高く優しい雰囲気に包まれた。放送後にウェブ上では「はじめて銀色さんの声を聞いた」「感動した」との声が長年のファンの間からもあがっている。銀色さんの貴重な朗読を含む同コーナーはNHKのウェブサイト(http://www4.nhk.or.jp/r-asa/340/)でも聞くことができる。

NHKラジオ第1「マイあさラジオ」のコーナー「著者に聞きたい本のツボ」は毎週日曜6時40分ごろに放送。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年12月1日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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