“奇跡の写真家”いくしゅん「王様のブランチ」に1万5千円のカメラをさげて登場

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 若い世代を中心に“奇跡の瞬間を撮る”と話題の写真家がいる。写真集『ですよねー』(青幻舎)を昨年12月に上梓した「いくしゅん」さんだ。同書はこれまでネットや写真展などで活動してきた彼の初写真集となる。何気ない日常を切り取った作品はすべて愛おしく面白味に溢れている。“奇跡の写真家”と評される彼が3月12日土曜の昼間、テレビ番組「王様のブランチ」で全国のお茶の間に姿をあらわした。

■テレビ取材に自転車で登場

 待ち合わせの公園に自転車に乗ってふらりとあらわれたいくしゅんさん。レポーターの鈴木あきえさん(29)に「テレビ!?」ととぼけてみせる。写真家然とした姿を想像していたものの、いくしゅんさんは普通の体育会系のおにいちゃん、といった風貌に首からカメラをさげている。それも大きなものではなく、ミラーレスタイプの小型のもの。そんな彼の創作の秘密が明かされた。

■その場の雰囲気を捉えたい

 いくしゅんさんが大学卒業後、趣味ではじめた写真はブログなどで話題となり、およそ十年間撮りためた写真のなかからセレクトして今回のファースト写真集が作られた。いつも散歩中にネタ探しをしていると語るも、特別面白い写真を撮ろうと狙っているのではなく「妙な感じがする」場所をみつけ、その場の雰囲気を捉えたいと語った。決定的な奇跡の瞬間ではなく、おかしみある雰囲気を撮りたいと考えているようだ。

■3つのこだわり

 そんないくしゅんさんの撮影における3つのこだわりが語られた。

 1.誰でも買えるカメラを使う

 今回持ってきたカメラも中古で1万5千円程度のものだという。それが彼の写真に親しみやすさを生みだしているのだろう。

 2.撮影後に色の加工をしない

 素材で勝負する、と語る彼に意外に真摯な一面を見た感があった。

 3.家の近所で撮影をする

 生活圏内にも面白いものがある、と語る彼からは視点で勝負するんだという潔さを感じた。

■奇跡は日常にある

 今回の写真集も写真作品だアートだ、と見なくていい、手にとってぱらぱらと気分転換に見てもらえばいい、と語るいくしゅんさん。深読みしようと思えば出来るし、想像や妄想を働かせたりして楽しんでもらえればいい、と謙虚に語ったいくしゅんさんだが、番組解説者の早稲田大学準教授の市川真人さんは「こういうふうに日常を見ると楽しめるよ、といういくしゅんさんの視点が働いている」と解説した。奇跡は見落としがちな日常に潜んでいると教えてくれる一冊だった。

「王様のブランチ」はTBSにて毎週土曜日9:30から放送中。

Book Bang編集部
2016年3月18日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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