長年、大手生保で人事・労務担当を務め、人事異動の季節を迎えるたびに大勢のサラリーマンたちの喜怒哀楽を見つめてきた著者が、会社の命じる非情な左遷のメカニズムを分かりやすく解説した。学問の神様、菅原道真の太宰府左遷や、陸軍医として出世街道を歩んでいた小説家、森鴎外の小倉左遷に豊富な資料を駆使して肉薄。左遷組たちに取材を重ね、生々しい体験談を盛り込んだ。左遷を経て第二の人生をどう生きたかについても相当な分量を割いており、丸腰となった個人が組織との折り合いの付け方を考えるうえで、実に教えられることが多い。(中公新書・820円+税)
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2016年4月24日 掲載
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