『茶柱の立つところ』小林聡美著
[レビュアー] 産経新聞社
俳優として10代から活躍し、今や「堂々たるアラ還」の著者が、「地味でマニアック」な日常から独特の感性で見いだした発見や喜びをつづるエッセー集。コロナ禍でのZoom(ビデオ会議システム)体験やベランダ菜園などステイホームで味わった気分。「動けるうちに」と姉と行った北海道ツアーや幼なじみと参加したバスツアーは抱腹絶倒。近年通い出したピアノ教室や体操教室の充実感…。
一方、老眼など老いの実感や、近しい人々との別れなどが待つ「未来」への向き合い方も。何ごとも面白がり、挑戦する姿勢に共感したり、刺激を受けたりできる一冊。(文芸春秋・1650円)