『いま、お金について知っておきたい6つの教え』
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お金より大切なものはなにか?どんな時代になっても役立つお金との上手なつき合い方
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
誰にとっても、お金の悩みは切実。程度の差こそあれ、多くの方が「お金がない」と感じているわけです。
しかし『いま、お金について知っておきたい6つの教え』(本田 健 著、きずな出版)の著者によれば、高収入の人もまた、お金がないと感じているのだとか。だとすれば資産や収入だけではなく、お金とのつきあい方が問題なのかもしれません。
ちなみに著者がお金との接点を持ち始めたのは5〜6歳のころ。税理士だった父親にお金の基礎知識を教えられ、その経験をもとに20代で自分のビジネスを始めたというのです。そのためお金とのつきあいは、すでに50年以上におよぶようです。
お金やビジネスについて教え始めて、もう30年近くになりますが、何千、何万人の男女と向き合ってきました。人がお金の心配をしたり、お金でトラブルを抱えたり、お金から自由になっていく姿をたくさん見てきました。その過程で、こうやったらうまくいくという方法を自分で試して、まわりにもすすめてきて、一定の成果を得ました。(「はじめに」より)
つまり本書ではそうした経験に基づき、自身がお金について「なぜなんだろう?」と感じたことについての答えをまとめているのです。
なので、あなたがこれまで不思議に思っていたことが「そういうことだったのか!」という感じで理解できるようになると思います。
この本を読んでもらえれば、お金に対する謎が解け、どうして自分は上手にお金とつき合えなかったのか、これからどうすればいいのかがわかると思います。(「はじめに」より)
そんな本書を参考にしながら、きょうは「お金についての考え方」を再確認してみましょう。
お金のルールは2種類ある
人は自分でも気づかないうちに「お金のゲーム」をさせられているもの。そして、お金には「最低限のルール」があるものだと著者は述べています。
気をつけなければいけないのは、そのルールには「時代を超えて適用するお金のルール」と、「たまたまそのときに当てはまるルール」の2種があること。
どんな時代にも通用する「時代を超えたルール」とは、「収入の範囲内で生活する」「自分の稼ぎ力をつける」「信用を積み上げる」「応援される人になる」といったもの。
もうひとつのカテゴリーは「不動産に投資する」「株に投資する」「仮想通貨に投資する」など、そのときに当てはまるかどうかをよく見ておかないと、時代の変化でルールが逆になったときには、大失敗してしまうもの。
お金にはこうした特徴があるため、時代を超えたルールを見つけ出し、それを身につけることが重要。そうしたうえで、いま現在において通用しているルールも知っておくことが大切だというわけです。(122ページより)
お金のつき合い方が変われば、人生は変わる
ところで、もしもお金が自分のやりたいことを応援してくれる(お金が入ってくる)としたら、どんなことを始めるでしょうか?
もしも「お金が入ってきたら、大好きなことを始めようかな」と考えているとしたら、いつまでたってもそれに相当するお金は入ってこないかもしれないと著者は述べています。
簡単な話で、好きでもないことをやっている限り、たいしたお金は入ってこないものだから。だとすれば、貯金もできないわけです。
そうではなく、「大好きなことをやって、お金についてきてもらう」という方法も考えてみましょう。いまは、銀行から借り入れるだけでなく、クラウドファンディングなどの方法もあります。あなたにアイデアと情熱さえあれば、びっくりするぐらい、たくさんの人が応援してくれる時代になりました。(187ページより)
「お金をどうするか」も大事ではあるけれど、「自分が本当はなにをやりたいのか?」という“人生において大切な問い”を自分にしてみる必要があるということ。
その質問は、「自分が生まれてきた目的」にも関係してくると著者はいいます。だからこそ、本当にやりたいことさえわかれば、人生が劇的に変わっていく可能性もあるのです。(180ページより)
「お金よりも大切なもの」はなに?
いうまでもなく本書のテーマは金ですが、本当に考えてほしいのは「自分がこれからどう生きるか?」ということだと著者。お金は生活をサポートしてくれるものではあるけれど、主人公ではないのです。
あなたにとって、何が本当に大事なのでしょうか?
これからの10年間、いまと同じ仕事を続けて、あなたは幸せですか?
もし、「それは絶対イヤだ!」と思うなら、今日から、新しい仕事ができないか、考え始めましょう。(183ページより)
いまの延長線上に“最高の未来”をイメージできないのだとすれば、本当に行きたかった人生に移行するべきであるはず。
お金は、それを実現するために存在しているものでもあるというのです。(182ページより)
将来のお金のかたち
これから先、お金はどういう形になっていくのでしょうか? この点について著者は、「お金がこの地球からなくなることはない」と考えているのだそうです。
なぜならお金は、誰にとっても便利な道具だから。ただし、お金に対する人間の認識や感情は、大きく変わる可能性があるともいいます。
お金というものが、生きていく上で「絶対に必要なもの」から、「そんなに大切でない単なる数字」に変わったとき、多くの人にとって、お金に対する優先順位は下がるでしょう。(186ページより)
これからの時代は、人類にとっても正念場かもしれません。しかし、経済的にどんなことが起きても、「たかがお金、命まで取られるわけじゃない」と開きなおった人が勝ちだと著者は断言しています。目の前のことに一喜一憂せず、長い目で人生を見てみるべきだと。
くれぐれもお金の心配や不安で、心の平安や健康を失わないようにしてください。(187ページより)
そうすれば、まわりの人が右往左往したとしても、余裕を感じて生きることができるからです。(184ページより)
本書を読み進めていく過程で、ワクワクしたり、逆に悲しくなったりするかもしれないと著者は述べています。
それはお金というテーマが、自身のなかに潜んでいるさまざまな感情を引き出すから。つまりはそこから、お金との新たなつき合い方がスタートするということなのかもしれません。
Source: きずな出版