渕書店 BOOKSTORE FUCHI「風とおしのいい父娘(おやこ)が語る経営論とは?」【書店員レビュー】

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女子高生社長、経営を学ぶ

『女子高生社長、経営を学ぶ』

著者
椎木里佳 [著]/椎木隆太 [著]
出版社
株式会社ダイヤモンド社
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784478068113
発売日
2016/01/28
価格
1,430円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

渕書店 BOOKSTORE FUCHI「風とおしのいい父娘(おやこ)が語る経営論とは?」【書店員レビュー】

[レビュアー] 渕書店 BOOKSTORE FUCHI(書店員)

ソニーを辞め、ベンチャーで上場した父とその娘で中学三年生にして会社を立ち上げた女子高生との会話で進む経営のハウ・ツー(ざっくり言うと)本。とにかくこの親子、明るい、いや味がない。そのうえにクレバー。余計な熱量のないエネルギー、そんな心地いい波がぐいぐいと読者に迫る。ほんとうにこれ、会話なの?と思ってしまうほどの含蓄量。「感謝」「謙虚」「全力」(本文)父が諭す経営のスタンスに娘は素直に肯く。そして、ためらいもなく疑問を訊ね、父は軽々とそれを返すし、娘のことばに自らを省みたりもする。本書はともすれば難しくなるであろうビジネスの在り方、戦略、戦術について書かれたものだと思うが、心得のある読者なら「なんだ、それでよかったんだ」と視界を明るくし、また、溜飲を下げる→ 納得 → 確信の思いに落ち着くのでは。そんな「難解なこと」が「簡単」に分かる本で、そう考えると1300円(税抜)はコストパフォーマンス(費用対効果)の高いもの。自分は女子高生でも上場企業の社長でもないのですが、パパのことばにも娘のことばにも中年のこの読者さえにも希望を持たせる何かがある。若い経営者、或いは経営者志望者なら松下幸之助さんの本にもこっちにも考えさせられる何かがあるはず。最後に一句『春風と たわむれし父娘(おやこ) 幸之助かなあ? 』・・・多いに字余り。お後がよろしくない。

トーハン e-hon
2016年5月4日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

トーハン

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