「学び」こそ確実なリターンが期待できる投資である3つの理由
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
さまざまな問題を抱える現代社会において、「将来のお金」に不安を持つ人は増加の一途をたどっています。
しかし『人生を自由にしてくれる 本当のお金の使い方』(井上裕之 著、あさ出版)の著者のまわりに、「お金の不安を抱えている人」は見当たらないのだとか。
たとえば新型コロナの影響で売り上げや年収が落ちたという人たちからも、将来の不安を聞いたことはないというのです。
しかし、なぜ彼らにはお金の不安がないのでしょうか? 著者によればそれは、「お金が回り続ける方法」を知っているから。
「お金の不安がない人」は、
「稼ぎ方より大事なのは、使い方である」
「お金を正しく使うと、金額以上の価値を生み出すことができる」
「お金は『使うこと』で回りはじめる」
ことを知っています。
(「はじめに」より)
大切なのは、稼いだお金を「貯める」だけでなく正しく使うこと。それは、「自分の価値を高めてくれるものに使う」という意味なのだそう。
具体的にいうと「お金の不安がない人」は、健康(食事、睡眠、運動など)」「教育(キャリアアップ、スキルアップ、社員教育など)」「貢献(社会貢献や、人の役に立つことなど)」「感謝(お礼の気持ち、大切な人への贈り物など)」「経験(いままでやったことのないこと、新しいチャレンジなど」にお金を使っているというのです。
そうすれば「自己成長」を促すことができ、「よい人間関係」を築けるため、結果的に「使った額以上のお金が入ってくる」ようになるというわけです。
こうした考え方に基づく本書の第3章「人生をより自由にしてくれるお金の使い方」のなかから、「「学び」は確実なリターンが期待できる投資」に注目してみたいと思います。
「学び」は確実なリターンが期待できる投資
著者は、お金を循環させたいとき最初にすべきこととして「学びにお金を使うこと」を挙げています。その理由は、おもに3つあるそう。
【学びをすすめる3つの理由】
① 学びへの投資は「損」をしない
② 視野が広がる
③ 人間関係が広がる
(131ページより)
ひとつずつ確認してみましょう。
学びへの投資が「損」をしない理由
不動産や株などの資産は、相対的な価値が変動するものです。「上がるか、下がるか」を予想しづらく不確実で、場合によっては大敗、大損を招きかねないわけです。
それに対して「学び」は、リターンが確約されているもの。なぜなら学びの成果は、確実に自分のものになり、下がったり減ったりすることがないからです。
私の知る成功者の多くは、 「今、すべてを失っても、身ひとつでやり直す自信がある。5年くれたら、今以上の成果を出す自信がある」 と口を揃えます。
彼らの自信の源泉は、「学び」です。「やり直せる」と言い切れるのは、専門知識のみならず、ビジネス、成功哲学、自己啓発、科学、芸術、音楽……など、さまざまな自己投資をして、「自分」という資産を高め、磨き上げた結果です。(132ページ」より)
こう語る著者もまた、お金に糸目をつけることなく、学びへの投資を続けてきたのだそうです。しかも、投資に見合う成果が出なかったことは一度もなかったのだといいます。
だからこそ、学びへの投資は確実な投資であると断言できるのでしょう。(130ページより)
学びによって視野が広がる理由
著者は本業である歯科医師の傍ら、世界中の自己啓発や経営プログラム、能力開発を徹底的に学んでつくりあげた独自の成功哲学を提唱しているという人物。
あまりない経歴の持ち主であるわけですが、そこには理由があるようです。
私が「歯科」以外の勉強をはじめたのは、30代中盤のころです。
それまでの私は、「一流の歯科医師になるには、医師としての知識とスキルがあればいい」と考えていました。医学書以外の本(小説、自己啓発書、ビジネス書など)を開くことはなく、いわゆる「専門バカ」でした。
ですが、
「一般教養の知らない専門バカでは、一流になれない」
「人としての器を大きくしなければ、一流になれない」
「人としての魅力が備わっていなければ、一流になれない」
「行動力、分析力、解決力、論理的思考力、コミュニケーション力といった、ポータブルスキル(職種や業種を問わず必要とされる基本的なスキル)を身につけなければ、一流になれない」
ことに気がつき、ヒューマンスキル(人間力)を高めるためにお金を使うようになったのです。
(133〜134ページ」より)
そうした経験があるからこそ、専門分野以外の学びをすると、視野が広がると実感しているのだそうです。そして視野が広がると、いままでとは違った(他の人とも違った)視点で物事を考えられるようになるため、自分に付加価値をつけることができるというのです。(133ページより)
学びによって人間関係が広がる理由
セミナーに参加すれば、業種、職種、性別、年齢を問わず、さまざまな人との交流が生まれるもの。
著者も、学びに投資するようになってから人間関係が広がって、様々なチャンスや収穫を得てきたのだと振り返っています。もちろん、新たな知見を得ることも可能になるでしょう。
こうした理由があるからこそ、もしも成果を出したいなら、お金を稼ぎたいなら、自由を手に入れたいなら、「学び」に投資すべきだというのです。
正しく前向きに学んでいれば、成果に結びつく。成果が出るから収入も、社会的な存在感も上がる。収入が上がるから、次の自己投資が可能になる。
そして次の自己投資が新たなリターンにつながり、そのリターンをさらに投資するという好循環が生まれるということ。(134ページより)
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人生100年時代に問われるのは、お金の「つくり方」よりも「つくったお金の使い方」だと著者は考えているそうです。つまり本書においては、そのためにすべきことが明らかにされているわけです。
お金の不安を解消するために、参考にしてみてはいかがでしょうか?
Source: あさ出版