主体的な「ギブ」が成功の鍵。仕事とやりがいが大きく変わる自分軸ではじめる働き方の最適化

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だから僕たちは、組織を変えていける ワークブック

『だから僕たちは、組織を変えていける ワークブック』

著者
斉藤徹 [著]
出版社
クロスメディア・パブリッシング
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784295407768
発売日
2022/12/16
価格
1,848円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

主体的な「ギブ」が成功の鍵。仕事とやりがいが大きく変わる自分軸ではじめる働き方の最適化

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

だから僕たちは、組織を変えていける ワークブック』(斉藤 徹 著、クロスメディア・パブリッシング)は、ベストセラーとなった同名書籍のワークブック版。28のワークに答えを書き込むことで自身を変革させ、ひいては働く場所におけるチームにも「心理的安全性」と「やる気」を生み出そうという目的があるようです。

まずは、「自分」の意識や仕事への意味づけを変えるところからはじめましょう。そして次に、周りの人との「対話」のとらえ方を変えます。

コミュニケーションのスキルを身につけたら、次は「チーム」の関係性、思考、行動を変えていきましょう。そして、そこから生まれた成果を広げていくことで、「組織」に影響を与えていきます。(8ページより)

紹介されている28のワークは、すべて自分ひとりで取り組めるものばかり。見開き左側には書き方や考え方の説明があり、それを参考にしながら右側のページに書き込むというスタイルになっています。

みなさんが悩むことなくスムーズに取り組めるよう、できるだけわかりやすく説明していますが、なかには、回答に悩んでしまうものもあるかもしれません。

そこで、書き方の例をいくつか用意してみました。書き方に正解はありませんが、悩んだときはぜひ参考にしてください。(8ページより)

つまり、無理なく取り組めるような仕掛けが豊富に用意されているのです。ここでは1章「仕事の意味を考えよう」の左ページ解説部分をご紹介したいと思います。

「仕事の意味」を発見しよう

チームを変え、環境を変え、組織を変えるための出発点として、まずは自分自身から変えていくべきだと著者は主張しています。

最初に考えたいのは、あなたにとっての「仕事」の意味です。

まずは、あなたが自分の仕事を通じて

笑顔にしたい人をイメージしてみます。

そして、その人のために、自分はどんな価値を提供できるのか、

もっと笑顔になってもらうにはどんな工夫をすればいいのかを、

もっと考えてみましょう。(22ページより)

たとえば、「仕事に希望を持って働いている人を笑顔にしたい。そのために、組織をもっとよい方向に変える方法を届けたい。そこで、実践に役立つワークをつくろう」というように、自分の仕事に合わせて具体的に考えてみるわけです。

なぜなら、いまの仕事に楽しさを見出せていなかったとしても、「そこで自分ができること」に気づければ、仕事の意味は変わってくるはずだから。(18ページより)

自分の「強み」を掲げて生きよう

自分の強みを仕事で発揮できると、「この仕事は、自分だからできることだ」という感情が湧き上がってくるもの。そこで著者は、セリグマンが示した「24の強み」をヒントに、自分の「強み」といえるものを探してみることを勧めています。

ポジティブ心理学の創設者である心理学者マーティン・セリグマンは、こう考えました。

「幸せは、喜びの追求、夢中の追求、意味の追求の3種類があり、意味の追求こそ最も深く持続的なものである」(26ページより)

「意味の追求」とは、「自分より大きななにかに捧げるために、自分の最も高い強み」を使うこと。「自分より大きななにか」とは、家族、同僚、組織、顧客、地域社会、世界など、自分が所属するコミュニティなどを指すそうです。

つまり「意味ある人生」を送るには、「自分の強み」を知り、それを活かすことが大切だということ。

見つけた強みが、チームや組織、社会にとっていい影響を与えるものであるということにも気づけると、やがて自分の仕事が「意味のあるもの」だと思えるようになってくるはずだと著者はいいます。(24ページより)

「与える」ことを楽しもう

米国ウォートン・スクールで史上最年少の終身教授となった経営学者のアダム・グラントは、成功に必要な要因として、「やる気・能力・チャンス」に加えて、「人との相互作用」に着目しました。

他人との向きあい方にもとづいて人を「ギバー(与える人)」「テイカー(受け取る人)」「マッチャー(与えたぶんだけもらいたい人)」の3タイプに分類し、多くの人を対象に、成功するのはどのタイプが多いのかを調査しました。

その結果、成功するのも失敗するのもギバーであり、テイカーとマッチャーはその間に位置していることがわかりました。(32ページより)

さらにギバーのなかでも、最も成功するのは「主体的なギバー」であり、最も成功から縁遠いのは「自己犠牲のギバー」だとか。

「主体的」とは「自分にとって意義を感じることを自ら選び、クライアントや同僚の幸せのために高い成果を目指す」という意味だそうです。

とはいえ自分からギブすることは、なかなか難しいものでもあります。そこで最初の一歩として、自分の半径5メートル以内にいる人への「小さなギブ」からはじめてみてはどうかと著者は提案しています。たとえ見返りを得られなくても、「支えたい」と思える人を探してみるわけです。

ただし、「自己犠牲のギバー」にならないように注意が必要。負担やストレスを感じることなく、「この人にギブしたい」と思える相手に、自分ができるギブを実践してみる。それが、「主体的にギブする」ということなのです。(30ページより)

影響の輪「半径5メートル」からはじめよう

自らの組織や仕事に対して課題を感じたり、あるいは違和感を持ったりすることは少なくないはず。

とはいえ、自分が影響を与えられないただ問題に悩んでいても、時間と心が無駄になってしまうだけです。

まずは、自分が影響を与えられる「影響の輪」の範囲を理解しましょう。

あなたが所属するチームや部署だけでなく、

「関わっているプロジェクト」「担当業務で関わる社外の人」など、

複数の輪が存在していることも多いでしょう。

そして、いま抱えている課題が、

その輪の中にあるかどうかを考えてみましょう。

「上司の意識に対して、影響をおよぼすのは難しい」=影響の輪の「外」

「評価制度に対しても、変更をお願いするのは難しい」=影響の輪の「外」

「わたしのチームには、自ら働きかけることができる」=影響の輪の「内」(40ページより)

このようにそれぞれについて考え、最初に取り組むべき課題を決めて向き合っていくべきだということです。(36ページより)

ここでご紹介した「仕事観」だけでなく、他にも「対話」「チームの関係性」「チームの思考」「チームの行動」「組織改革」の悩みにも対応した幅広い内容。そのため、よりよく仕事をするため、組織を変革させるために役立ってくれそうです。

Source: クロスメディア・パブリッシング

メディアジーン lifehacker
2023年1月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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