いつも繁盛しているリピーター客がいるお店がやっていること・つなぎとめる技術とは?

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神・リピート集客術

『神・リピート集客術』

著者
日野原 大輔 [著]
出版社
フォレスト出版
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784866802398
発売日
2023/11/09
価格
1,980円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

いつも繁盛しているリピーター客がいるお店がやっていること・つなぎとめる技術とは?

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

神・リピート集客術』(日野原大輔 著、フォレスト出版)の著者は、「リピーター客を3年以上つなぎとめる技術」を教えているというスモールビジネス専門コンサルタント。

自身も都内で複数のスポーツジムを経営するスモールビジネスのオーナーであり、それらはいずれもスタッフが10人以下の小規模ジムであるものの、業界平均3倍の客単価を実現しているのだとか。

知名度も資本力もないのにお店を流行らせることができたのは、「集客」には注力せず、「接客」を大切にしているからなのだとか。

接客のよさにメリットを感じて通ってくれるリピーターを増やせば、経営は格段に楽になるというのです。

つまり本書では自身の経験を軸として、「自身の商品・サービスをリピートしていただくためになにをすべきか」についてのノウハウを明かしているわけです。

ちなみに著者のバックグラウンドになっている接客の秘訣は、お客さまと確実に心の絆をつくること。そんな接客術を、接着剤の「ボンド」にたとえて「ボンディング(=絆)接客術」と名づけたのだそうです。

スモールビジネスの経営者はもちろん、これからスモールビジネスを始めようとしている皆さんが、リピーターを途切れさせない「ボンディング接客術」をマスター、実践することによって、私と同じように「リピーターに支えられるストック型経営」を実現していただきたいのです。(「はじめに」より)

ボンディング接客術は、著者が経営するスポーツジムのみならず、英会話教室、おけいこ教室、セミナー講師、カウンセラー、コンサルタント、美容室、ネイルサロン、飲食店、歯科クリニックなど、スモールビジネスであればどんなジャンルでも応用できるそう。

だとすれば、「ボンディング」のコツについてもう少し詳しく知りたいところ。

そこできょうは、第2章「どんなビジネスも『つなぎとめる技術でうまくいく』内の「『ボンディング』はスタッフとお客さまをつなぐ“接着剤”」に焦点を当ててみたいと思います。

いきなり接着させようとしない

まずは、著者のいう「ボンディング接客術」の定義を改めて確認しておきましょう。

ボンディングとは、複数のものが結合、接着、接合し一体化するという英単語で、本書では「ボンドのようにお客さまとぴったりつながる」ことを意味しています。

子育ての心理学用語でも、お母さん、お父さんが子どもに対して抱く「愛おしい」「守ってあげたい」「大事にしたい」などの愛情・情緒的な絆を表す「ボンディング」がありますが、お客さまとお店との間に形成される人間関係もまた、愛情やお互いを大事に思う気持ちでつながっているのだと感じます。(80ページより)

たしかにそのとおりかもしれません。ただしボンディングするうえではまず、「いきなり接着させない」ことが大切でもあるようです。どういうことでしょうか?

ボンド(接着剤)を使う前には、「接着させたいものはなんか」「最終的にどんなものをつくりたいか」を考えるはず。たとえば「厚みとハリがあり、型崩れしにくい服をつくりたい」と思ったら、布と布を貼り合わせて生地をつくるかもしれません。

あるいは家の模型をつくるなら、まず設計図を描き、図面どおりに木材をカットして、それから接着していくことになるでしょう。

つまりはそれらと同じで、「どんなお客さまと「接着するのか」「お客さまの求めに応じてどう接着するのか」について事前に調査・計画することが大切だというわけです。(80ページより)

接着する前に、お客様の3つの情報を知る

お客さまとお店のボンディングの場合には、接着する前にまず「禁忌」「ここに来た目的・悩み」「未来のゴール」という3つの「情報」を知っておかなければいけません。

特に禁忌(してはいけないこと)は、絶対に聞き漏らしてはいけない情報です。

飲食店なら食品アレルギーがあるかどうか。美容院ならヘアカラーでかぶれたことがあるかなど、健康や体調にかかわることを聞き逃すと、ボンディングはできません。(81〜82ページより)

もちろんこれは、どのような業種にもあてはまること。店側が情報を聞けば聞くほど、お客さまは安心してサービスを受けることができ、店も安全にサービスを行うことが可能になるのです。

ちなみに著者が行っている業務内の加圧トレーニングの場合、血流を制限しながら行うため、腕などに点状の内出血ができてしまうことがあるのだそうです。トレーナーにはその説明義務があるので、どのスタジオでも「点状出血ができますが、大丈夫ですか?」と聞くはず。

しかし、その言葉だけではイメージできない方もいるので、私のスタジオでは「この3日間で、お友達の結婚式があってノースリーブのドレスを着るとか、水着撮影が入っているとか、何か予定はありますか?」と冗談めかしながら、腕に赤い斑点が残ることをイメージしてもらいます。(83ページより)

そうやってさりげなく確認したうえで、トレーニングを開始するということ。細かく面倒なやりとりのように思えるかもしれませんが、明るい雰囲気のなかで必要な確認をすることで、お客さまの「こんなはずではなかった」を未然に防ぐことができるわけです。(81ページより)

よかれと思っても、まず細かく確認

また、体調にかかわらない精神的な禁忌もあるもの。

パーソナルトレーニングスタジオにモデルさんが来店し、良かれと思って膝立ちのエクササイズをしたとします。

しかし、翌日、その方が膝上スカートをはく撮影で、ひざに残った跡のせいで撮影にならなかったとしたら、その方の現場での信用は台無し。当然、こちらの信用もなくなります。(中略)まず相手の情報をしっかりと聞き出すこと。そして、聞き出した情報をスタッフと共有してボンディングすることが大切です。(84〜85ページより)

また、「この人はなぜここに来たのか(目的・悩みの共有)」「未来のゴールはどこなのか(いつまでにどうなりたいのか)」を具体的に知ることも重要。

こうした“ゴールセッティング”を大事にし、お客さまの「未来になりたい自分」に対して、ゴールまで寄り添ってサポートすることこそがボンディングだということです。(84ページより)

「ボンディング接客術」は、人が介入するビジネス、とくにスモールビジネスに有効な手段だと著者は強調しています。

なぜならマニュアルに頼らず、小回りの効いた対応ができるから。なんらかのスモールビジネスを行っている方は、参考にしてみるべきかもしれません。

Source: フォレスト出版

メディアジーン lifehacker
2023年11月22日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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