名高い国宝「鳥獣戯画」。その動きや感情表現の見事さは、それ以前の日本や中国の絵画にはみられないものだ。そもそも動物の特徴を的確にとらえて簡略に描写するのは、描き方の手本を知らなければかなり難しい。これほど完成度の高い描写は突然出現したわけではなく、土器などへの落書きにわずかな痕跡が残るように、今は失われたお遊びとしての動物画の蓄積があったのではないか―。
将軍家光のヘタウマ絵から、円山応挙が量産した子犬画まで。「かわいい」日本美術の紹介で知られる美術史家が、動物たちがいかに描かれてきたかをたどる。(NHK出版新書・1485円)
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2024年2月4日 掲載
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