『明朝体の教室』鳥海修著

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明朝体の教室 日本で150年の歴史を持つ明朝体は  どのようにデザインされているのか(3,200円+税、Book&Design)

『明朝体の教室 日本で150年の歴史を持つ明朝体は どのようにデザインされているのか(3,200円+税、Book&Design)』

著者
鳥海 修 [著]
出版社
Book&Design
ジャンル
芸術・生活/芸術総記
ISBN
9784909718105
発売日
2024/01/10
価格
3,520円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

『明朝体の教室』鳥海修著

[レビュアー] 読売新聞

 本や新聞をよく読み、「活字離れ」とは無縁だと思っている人でも、活字の制作手順や成り立ちに精通した人は多くないだろう。本書は、書体デザインの第一人者が「明朝体」をテーマに解説した一冊だ。

 パソコンのフォントでもおなじみ「明朝体」。読んで字の如(ごと)く、中国・明代に、楷書体の印刷文字の特性を高めた書体として定着した。清代に康煕帝の勅命で、約4万7000字を収めた漢字字典『康煕字典』が編(へん)纂(さん)され、日本の「明朝体」の拠(よ)り所になっているという。

 「明朝体」と一口に言っても、その種類は豊富で、デザインには、奥深い世界が広がる。文字の重心の高低や太さなどによって、がらりと印象が変わる。技術だけで書体は作れない。著者は〈技術の前提になる姿勢〉、大きく言えば“哲学”が大切と説く。「書は人なり」と言われるが、ネット時代でも変わらない。書体の端々に、丹精を凝らした設計者の心が宿っているのだ。(Book&Design、3520円)(真)

読売新聞
2024年3月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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