『勝海舟修養訓』石川真理子著
[レビュアー] 産経新聞社
世に海舟嫌いは多い。生粋の江戸っ子だった海舟の言葉の真意は理解しがたく、時に誤解を生じさせたと、東京生まれ東京育ちの著者は言う。米沢藩士の末裔(まつえい)である祖母中心の家で厳しく育てられ、幼いころから海舟に親しんできた著者は『氷川清話』から語録を抜粋、現代語訳と解説を付し、不安な時代を生きる日本人に、国難打開のため奮闘した海舟の克己心を伝えようとする。
《広い天下におれに賛成するものは一人もなかったけれど、常に世の中には道というものがあると思って、楽しんでいた》といった言葉をよすがに自省するもよし。(致知出版社・1200円+税)