ITコンサルへの転職で求められるもの――転職者はバックグラウンドと人間性が評価される

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(photo by ibreakstock/Adobe stock)

DXをはじめとする企業経営・運営のデジタル化推進にともない、ITコンサルタントが活躍するフィールドが飛躍的に拡大しています。そのため、SE・PGからITコンサルタントを目指す人も増加しています。そうした転職にあたり、経験・実績が最重要視されるのは言うまでもありませんが、それ以外にはどのような資質が求められるのでしょうか。『新版 ITコンサルティングの基本』(克元亮 編著、以下同書)よりみてみましょう。 

※本記事は同書の一部を抜粋・編集したものです。

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ITコンサルタントに求められる素質とは?

中途採用市場の進展と雇用流動化により、今やコンサルティング業界も異業界からの転身者が大半を占めるようになりました。ITコンサルタントについても例外ではなく、コンサルティング業界やIT業界出身であることは必須条件ではありません。

しかしながら、「ITコンサルタントとして成長し、活躍できる人材か」という点についてはシビアに判断されています。では実際にどのような要素を見極められているのか。具体的な点について、「バックグラウンド」と「人間性」に分けて見ていきましょう。

ITやコンサルティング分野でのバックグラウンド

当然ながら、IT分野やコンサルタントの経験をもっている人は優遇されます。仕事の進め方や共通言語などで業務上の親和性があり、即戦力として活躍できるという判断からです。昨今は未経験者を対象とした採用も拡大していますが、あくまでIT業界やコンサルティング業界出身でなくても可、というだけであって、各自の領域での卓越した知見と実績を求められることはいうまでもありません。

具体的にニーズがあり、かつ実際の選考で有効なのは次のような要素です。

1.高学歴

論理的思考力や地頭力など、コンサルタントとしての基礎的な力量を左右するものとして参考にされます。

2.出身業界や企業

IT業界であればもちろん歓迎されます。また、応募各社のクライアント企業が属する業界での実務経験や、各業界における上位3社くらいまでの大手企業での経験は優遇されます。クライアントも同規模であることが多く、社内政治や発生しうる課題などについて共通感覚をもって発想できるためです。

3.実務経験

システムに関わる経験は必須です。圧倒的な実績をもっているに越したことはないですが、最低でも要件定義から開発、導入、運用に至るまで一連の実務経験が3年以上あることが1つの目安になるでしょう。また、SAPやOracle、Salesforce、Microsoft、AWSなどの経験、ERPなどをユーザー側で導入した経験もあれば優遇されます。

ただ、技術的なスペシャリストでなくとも、事業会社の経営企画や事業企画部門などでシステムを含めた業務改革に携わっていた経験、もしくはシステム関連の営業職として課題解決型の営業で実績を残してきた経験などは、十分な即戦力と判断され有利に働きます。

4.視座の高さ

ITコンサルタントとして、顧客に対してさまざまな提案や実行支援を行なうにあたって、現場担当者から、経営陣に至るまで組織内のあらゆる階層、立場の人と協働することになります。その際、視座のギャップがあることで議論がかみ合わず、提案が通じないといったことが起こり得ます。

現場担当であれば目前のタスクレベルの話、経営陣となれば「この社会をどうしていくか」「未来をどう変えていくか」といったレベルでの議題に対応でき、ファイナンス、マーケティング、マネジメント、人事・組織など、広範なテーマについても俯瞰的な視野で応えられることが期待されます。

使命感や顧客志向などの人間性

ITに関する知識をもつ、論理思考力を備えている、といった条件はITコンサルタントにとって必須ですが、それだけでは不十分です。あくまでクライアントと相対してサービスを提供する仕事である以上、他者とのインターフェイスとしての人間性は非常に重要なポイントになります。

こちらについてもさまざまな要素がありますが、共通点をくくっていくと次のような分類ができます。

1.使命感

単に「ITコンサルティングをやってみたい」、という軽い気持ちではなく、「自分がやらねば誰がやる」というくらいの強い使命感をもっていることが重要です。意識が高いレベルにあると、それを維持するための自律的学習など主体的な行動に移せます。その結果、プロフェッショナルとしての迫力が出て、クライアントからの信頼獲得にもつながります。

2.顧客志向

単に「お客様のために何でもやります!」というような御用聞き的なものではなく、論理思考力と結びついた「徹底的にクライアントのために考えて行動する」志向です。具体的には「クライアントは、本当のところどうなりたいのか?」「問題はそもそも何なのか?」と考え抜き、おかしいと感じたら遠慮なく指摘できるような「常に本質を追求する姿勢」であるといえます。

3.バランス感覚

経験や専門的知識に長けていると、どうしても「自分の技術的知見を最大限反映させてコンサルティングしたい」という気分になってしまうことがあるかもしれません。しかし、それはクライアントや自社にとって本当に必要なことでしょうか。

コンサルタントとしてのエゴは排除し、クライアントの制約条件、自社が確保できるリソースやフィーとのバランスを考え、そのなかで最適な提案ができる感覚と自制心が求められるところです。

4.人柄

定義が曖昧な言葉ですが、「一緒に働きたいと思える雰囲気や信頼感」と言い換えてもいいでしょう

コンサルティングの一環として、クライアント企業に常駐したり、チームメンバーとしてクライアント側の社員とともに働いたりすることがあります。その際に彼らを巻き込み、効果的なチームワークが発揮されるためには、コンサルタントの人柄によって「この人と協業したい」と思われるかどうかが重要なポイントになります。

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以上が、ITコンサルティング各社の中途採用における共通点です。もちろん、企業ごとに細かい差異がありますし、市場環境によって変化する条件もあります。また対象年齢が上がるとともに、人間性などの「素養」から、バックグラウンドである「経験実績」へと判断のウエイトが変化していきますので、その点の考慮は必要になります。

克元 亮(かつもと りょう)
SEやITアーキテクト、ITコンサルタントとして、約30年にわたりシステム開発やITソリューションの導入などに携わる。現在は、ソリューションの事業開発に従事。SEのキャリア形成やスキルアップをテーマに、書籍や雑誌、Web記事を執筆。これまでに企画・執筆した書籍は24冊、累計発行部数は20万部を超える。
著書は、『「しきる」技術 誰にでもできる超実践リーダーシップ』『SEの勉強法』(いずれも日本実業出版社)、『SEの文章術【第二版】』『SEのプレゼン術』(いずれも技術評論社)、『図解でよくわかる SEのための業務知識』『個人情報保護士認定試験公式テキスト』(いずれもJMAM 共著)ほか多数。 経済産業省 情報処理技術者(システムアナリスト、プロジェクトマネージャ、システム監査技術者ほか)などの資格を保有。

日本実業出版社
2021年6月1日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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