メールの返信は一言でOK。エグゼクティブたちの時間の使い方とは?

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メールの返信は一言でOK。エグゼクティブたちの時間の使い方とは?

[レビュアー] 印南敦史

年収10倍アップの時間術』(永田美保子著、クロスメディア・パブリッシング)の著者は、20年以上にわたって東京にある外資系企業・合弁企業・日系企業で役員担当秘書として仕事をしてきたという人物。担当した外国人上司の出身地は7か国(地域)以上におよぶそうですが、そんな彼らには共通点があるのだといいます。

それは、責任者として手がけている事業、部下、あるいは家族など、「自分が大切にしているもの」をなんとしてでも守るという強い意志を持っていること。仕事で成果を上げる一方、多忙なスケジュールのなかでも家族との時間や自分のために使う時間を優先しているというのです。

しかも彼らは、決して特別な能力を持っているわけではないのだと著者。ただし普通の人とちょっと違っているのは、「人生全般における優先順位のつけ方」。そしてそれは、彼らの「時間の使い方にすべて凝縮されているのだそうです。

逆に言えば、私が例に挙げたエグゼクティブのように、できる人の時間の使い方を見れば、仕事での成果を上げて(=年収を上げ)、充実した人生を送ることができる、ということが言えます。(「はじめに」より)

そこで本書においては、年収の高い人の代表を「エグゼクティブ・役員」と定義づけ、年収が上がることにつながるような行動パターン(セオリー)を「時間の使い方」という観点から分析・解説しているというわけです。きょうは第4章「年収10倍の人はすぐにやる」から、いくつかを引き出してみたいと思います。

現地時間午前3時に超速でメールの返信がくる謎

自身の社内外への影響力を熟知している役員たちは、ときに一般の従業員からすると常軌を逸した仕事の進め方を実践することがあるそうです。いい例が、世界中の各拠点に部下を持つような役員は、自分のいる場所の時間が深夜であろうが、休日であろうが、海外にいる部下たちに向けてビジネス上の重要な連絡事項をメールしたりすることがあるということ。そして勤務時間外であるにもかかわらず、そこまで「すぐ」対応することには理由があるのだといいます。

それは、役員自身の決断や指示がきっかけとなって仕事の流れが起き、自身の部下からその先のお客様に影響を及ぼすという道筋の重要性を理解しているから。自分がそこで流れを止めたとしたら、その他すべての人たちの仕事が止まってしまうため、時間を問わず「やるときはやる」と決めているということです。

さらに彼らは、そんな業務の流れがスムーズになるよう、さまざまな工夫をしているのだとか。たとえば海外に上司や部下がいる役員は、彼らとの仕事を円滑に行うため、お互いの時差や休日の影響をできるだけ受けないようタイミングよく連絡を取ることに慣れているというのです。普段からお互いにコミュニケーションをこまめにとりながら、深夜や早朝などに相手に急なメールを送っても大丈夫なように、あらかじめ体制づくりをしているというわけです。

また、いざというときに各國の担当者を電話で捕まえるための適切な時間帯も熟知しているのだともいいます。たとえばニューヨークの朝7時は、フランスの同日午後1時、日本は同日の夜9時。世界中の担当者がつかまりやすいこの時間帯の前後2時間程度の間に、ピンポイントでメールや電話をして一気に用件を済ませるというわけです。こうした準備があってはじめて、役員は自分の影響力を把握しつつ、すぐに動くことができるのだということ。

私たちがこうしたことから学べるのは、自分以外の人を動かすことになる業務に関しては、それを最優先するということ。また、そこで行っている業務の優先順位をはっきりさせることがもっとも大切だとも著者はつけ加えています。(136ページより)

POINT 人の仕事を動かすことをなによりも優先する
(139ページより)

メールはチャット感覚で使う

いまや仕事において、メールでのやりとりは必要不可欠。電話よりメールのほうが仕事をしやすいという方もいるのではないでしょうか。

口頭や電話で伝えずにメールで送っておき、記録を残しておくことが求められる場合もあるはずです。つまり結果的に、短いものも含め、扱うメールの数は増える一方。業務上直接関係のないメールも含めると、一般社員でも1日に100通程度は受け取っていたとしても決して不思議ではないわけです。

著者が秘書を務めてきた上司の場合、少ない人でも1日送受信すべて含めて100〜300通、多い人で300〜500通程度だったといいます。そのなかで重要な件のメールは半分以下で、その他は確認事項やスケジュールの連絡、予算などの承認メールだったそうです。

それだけのメールが届くのだとすれば苦痛に感じても不思議はありませんが、だからこそ彼らはメールの速さを重視するのだというのです。そのためスケジュールの件など急ぎの案件を秘書とメールでやりとりしているときには、簡潔なメールのやりとりとなり、しかもスピードが速いためチャット状態になることがあるのだといいます。

秘書「今度の中国出張の件ですが、5月1日と2日どちらの出発にしますか?」
上司「1」
秘書「出張先でA社のB社長にアポイントを取ってよろしいですか?」
上司「Yes」
(145ページより)

このように、上司からのメールは「ひとことのみ」である場合も多かったというのです。そして、そこには明確な理由があるのだといいます。つまり、一度メールを処理すると決めた上司は、「いま、ここに集中」という状態で秘書からの必要事項の質問に一気に答えているということ(秘書としてもそれがわかっているからこそ、できるだけ余計な手間をかけさせないため、シンプルに答えられるように文面を工夫していたそうです)。

ところでエグゼクティブは、電話とメールをどのように使い分けているのでしょうか? 著者によれば、電話がおもに使われるのは、至急のとき、メールにして残したくないとき、相手の反応を確かめながら説明したいような込み入ったとき。

一方、メールの利点は、移動中、会議中など相手が電話できない状態のとき、返事を急がないのでとにかくメールで投げておきたいとき、ログを残したいとき、複数の相手に連絡したいときに便利なこと。

デメリットについていえば、電話の場合は、通話しなければならないため相手の状況によっては迷惑になることがある点。メールは文章を描くのに時間がかかる点、また、書き方によってはていねいすぎたり長すぎたりと、さらに時間を余計に費やしがちな点だといいます。

そして著者はメールのやりとりをするたび、「メールを簡潔にすることをいちばん実行できているのはエグゼクティブたちだな」と実感したのだといいます。(144ページより)

POINT メールはていねいさより速さ
(147ページより)

本当に決めるときのスピード感

外資系企業での採用の場合、時間をもっとも割かれるのは、何度も行われる面接。外資系企業では、新卒で一斉に入社ということはほぼ行われないため、採用といえば中途採用。そのプロセスを、会社の人事部とマネジメント(社長や、採用しようとしている部門の責任者)が候補者とコンタクトを取りながら進めていくわけです。

ひとりの従業員、特にマネージャークラスを採用する際には、少なからぬ頻度で多数のマネージャーや役員が面接に対応することになるそうですが、そこで必要とされるのが、採用するかどうかを判断する際の正確さと速さ。

それはひとえに、「なんのためにその人物を採用するのか」という目的がはっきりしており、そのために優先順位が決まっているから。採用でも不採用でも、速く決断することが会社のためにプラスになるという考え方があるというのです。

また、それだけではなく、昇進に関しても決断は早いのだとか。承認のプロセスが決まっているので、なにかあった場合には上司の裁量で昇進させるということが頻繁に行われているというのです。

いわば現場の状況を敏感に察知し、意思決定をタイミングよく行うこと。それが部下の士気を上げるということを、よく理解しているということなのでしょう。(156ページより)

POINT 難しい判断だからといって、時間をかけなくてもいい
(159ページより)

秘書としての著者の実体験がベースになっているだけあり、具体的かつ実践的な内容。いまより効率的に時間を活用したいのであれば、参考にする価値はありそうです。

(印南敦史)

メディアジーン lifehacker
2017年3月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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