『日本海軍連合艦隊の研究』
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『日本海軍連合艦隊の研究』木村聡著
[レビュアー] 産経新聞社
旧海軍戦力の中核だった連合艦隊。元々は日清戦争で複数の艦隊を統合運用するための臨時組織だったが、その後の常設化と肥大化を経て、先の大戦末期には海軍全体の作戦を立案する実質的な中央機関と化した。これまで軍事史や政治史で個別の論点が扱われるだけだった連合艦隊について、気鋭の近代史研究者が組織としての全体像と問題点を明らかにする。
本来、海軍作戦を統括するはずの軍令部を尻目に連合艦隊司令部が主導権を握った結果、陸軍との協調は乱れ、大局的な戦争指導が不可能になった。栄光の陰の構造的問題に実証的に迫る好研究。(北海道大学出版会・8250円)