【気になる!】文庫『民宿ひなた屋』山本甲士著
[レビュアー] 産経新聞社
釣りで飯を食うという夢に破れ、佐賀に帰郷した粘児(ねんじ)は、実家の民宿「ひなた屋」を継ごうとするが、経営難で職探しに奔走する。
そんなとき、交際中の女性の娘で不登校の希実(のぞみ)を預かることに。好奇心旺盛な希実に釣りを教えながら、粘児は民宿経営の立て直しに向けて起死回生のアイデアを思いつく。
夢と希望をなくしたアラフォー男と女子中学生が奇跡を起こす物語。さえない中年男の復活・逆転劇『ひなた弁当』『ひなたストア』の著者による文庫オリジナル。過去に夢中になって積み重ねたものは決して無駄ではない-と伝えるあとがきも味わい深い。(潮文庫・825円)