科学的なメソッドで睡眠改善を。快眠のための準備運動「バルーン・ブリージング」とは?

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3分読むだけでグッスリ眠れる本

『3分読むだけでグッスリ眠れる本』

著者
弥永英晃 [著]
出版社
秀和システム
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784798067254
発売日
2022/11/15
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

科学的なメソッドで睡眠改善を。快眠のための準備運動「バルーン・ブリージング」とは?

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

心理カウンセラー・快眠セラピストである著者によれば、『3分読むだけでグッスリ眠れる本』(弥永英晃 著、秀和システム)は「一流大学の科学的な根拠(エビデンス)がある、大人のための読むだけで眠くなる『おやすみ本』なのだそう。

アメリカのハーバード大学、スタンフォード大学、オックスフォード大学、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)、エール大学、タフツ大学、イギリスのサセックス大学などの名門校が、本書で紹介されているメソッドを実際に使っているというのです。

そのため、「眠れない」「起きたときに体が重く、しんどい」「頭がボーッとしてスッキリしない」など睡眠に関するお悩みを抱えている方には役立ってくれそうです。

私は、「睡眠療法専攻」によるカウンセリング学の博士号を持ち、眠り専門の心理カウンセラーとして、これまでに22年間、1万2000人以上の方のカウンセリングを経験し、回復率は98%を超えています。(「はじめに」より)

つまり本書には、そうした経験を通じて培われてきた知見が凝縮されているわけです。しかも特徴的なのは、本書の構成。紹介されているさまざまな技法の科学的根拠(エビデンス)を解説した第1部と、「1話3分」で読める11の物語が並ぶ第2部との2部構成になっているのです。

そのため、科学的根拠を確認したうえで物語をゆっくり読んでいけば、本当にウトウト眠くなってくるのだとか。

きょうは第1部「眠くなるための準備〜なぜ、あなたはこの物語で眠くなるのか?」のなかから、「寝る前に必ずおこなう『準備運動』とは?」をクローズアップしてみたいと思います。著者が「寝る前に必ず行ってほしい」と訴えるメソッドをまとめた項目です。

「スタンフォード大学式」をさらに深める

バスタブに温かいお湯を張り、リラックスしてお湯に入っているときには、体のどの筋肉も「力み」のない自然な緩みの状態にあるはず。また、ベッドや布団で寝ているときにも同じことがいえるでしょう。

著者もクライアントをそのように誘導しているそうですが、ここで紹介されているのは、その誘導法をできるだけ簡単に、快適に体験できる“メインの準備運動”。ポイントは、「筋肉の弛緩と呼吸」の2点にあるようです。

なお、この方法は、スタンフォード大学のストレス対策コースが採用している「バルーン・ブリージング」と呼ばれるメソッドにも応用されているそうです。この方法を用いると、人間の自律神経の副交感神経(リラックス神経)を優位にすることが科学的に立証されており、脳波もα波が出るリラックスの状態になるというのです。

ちなみに補足ですが、人間が寝ている時は、脳波はα波になっています。

つまり、メインの運動をすることで、眠る前の「最適な人間の体の状態を作ることができる」ということです。今まで1万2000人を睡眠誘導してきた経験から、より効果があると思われる方法をオリジナルで追加しています。(59ページより)

本来であれば、バルーン・ブリージングは以下の①〜③で完結しているもの。しかし著者はそこに、④〜⑩を追加しているというのです。

なぜなら、手足を動かしたり、首を横に曲げたりする動作は、体の血流をアップさせてくれるから。血流をよくすれば体があたたまり、安心して眠りに入れるというわけです。(58ページより)

すべての過程に科学的根拠がある

著者によれば、バルーン・ブリージングは準備運動といっても難しいものではないようです。端的にいえば腹式呼吸のことであり、「おなかに手を当てて、呼吸したときにおなかがふくらむ呼吸(腹式呼吸)をする」というものだということ。したがって、時間的にも3分で充分だといいます。

なお、それに加えて著者のバルーン・ブリージングでは、イメージツールとしてテニスボールを使うのだといいます。どのようなものなのか、確認してみることにしましょう。

【弥永式バルーン・ブリージングのやり方】

① お腹のおヘソの10センチ下あたりに、小さなテニスボール大の風船が入っているとイメージします

② 鼻からゆっくりと4秒、息を吸います(吸うと同時に、お腹の中にあるテニスボールに空気が入り、膨らむイメージを持ちながら。イメージがわかりにくい人は、片手をお腹に置いて呼吸のたびにお腹が膨らんでいるか確認する)

③ 口をすぼめて8秒間、細く長ーく、いつもの3〜4倍の遅いスピードで、ゆっくりと息を吐き出す(息を吐くことでテニスボールが、風船のようにしぼんでいくイメージで。慣れるまで手を添えて、お腹がへこむのを確認する)

④ 軽く首を右にゆっくりと、無理のない程度に倒します(首に痛みや疾患がある場合は、④〜⑥は飛ばしてください)

⑤ 次は首を左にゆっくりと、無理のない程度に倒します

⑥ 首をゆっくり回転させます

⑦ 手首をパタパタ動かしましょう

⑧ 手を握って拳を作り、離して五本指にします。「グーパー運動」をしましょう。さらに両肩をグッと上げて、両手に力をグッと入れ、「はーっ」と息を吐いて、「ダラーン」と一気に力を抜きましょう

⑨ 足首をパタパタ動かしましょう。足全体に「グッ」と力を入れて、「はーっ」と息を吐いて「ダラーン」と一気に力を抜きましょう

⑩ 最後に、ゆっくり深呼吸してボーっとしてください

(61〜62ページより)

なお、⑩の「ボーっとしてください」という部分にも意味があるのだそうです。

ワシントン大学医学部のマーカス・レイクル教授によると、研究によって「人はボーっとしているとき、リラックス神経が優位になり、眠る前の状態になりやすい」ことがわかったからです。(63ページより)

つまりはこのように、すべての過程には“寝る前に行うべき科学的根拠”があるということ。それらはすべて、有名大学で立証されているということのようです。

したがって本書を活用するにあたっては、このメイン準備運動をしっかり行い、リラックスした状態になることが大切だというわけです。(60ページより)

睡眠は健康のもっとも重要なファクターであり、人生の健康の10割は睡眠で決まるといっても過言ではないと著者は述べています。

しかも睡眠は流行り廃りのない普遍的なもの。どんなときにも人類は睡眠によって回復し、健康維持してきたわけです。だからこそ、ぐっすり眠ることができずに悩んでいる方は、本書を手にとってみるべきかもしれません。

Source: 秀和システム

メディアジーン lifehacker
2023年1月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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