『出島動物図鑑』
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『出島動物図鑑』山口美由紀著（長崎文献社）
［レビュアー］ 池澤春菜（声優・作家・書評家）
去年長崎に行った時、出島を見て思いのほか小さいことにびっくりした。おおよそ１万３０００平方メートル、東京ドームのグラウンドくらい。この小さな場所に、こんなにたくさんの動物が訪れていたとは！
商館員の食料となるべく連れてこられた牛や豚、ペルシャやジャワからやってきた駿馬（しゅんめ）たち。もちろん象やラクダといったスターに、モフモフシュッとした様々な犬、モルモットといったペット。カラフルなオウムやインコ、孔雀（くじゃく）。鹿やヒクイドリが人と一緒に通りを闊歩（かっぽ）しているのにはびっくり。そしてもしかしたらドードー鳥もいたかも！
将軍に献上を断られたラクダは、商館長が懇意にしていた遊女にプレゼントされたそう。ありがた迷惑。実際には悲しい結末を遂げた動物たちが多いそうだけど、絵巻の中で生き生きと動き回る動物たちの姿はなんとも愛らしい。
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2023年8月11日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです
