無意味な仕事が追われているなら、身につけるべき「なくす・へらす・かえる」技術

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仕事に追われず自分の時間を確保する

『仕事に追われず自分の時間を確保する』

著者
ハック大学 ぺそ [著]
出版社
ポプラ社
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784591178492
発売日
2023/10/18
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

無意味な仕事が追われているなら、身につけるべき「なくす・へらす・かえる」技術

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

仕事に追われず自分の時間を確保する』(ハック大学 ぺそ 著、ポプラ社)の著者は、外資系金融機関で働きながら、副業としてYouTubeチャンネル「ハック大学」を通じ、ビジネスに役立つ情報を発信している人物。

そんななか、「“自分のやるべき仕事”をしていない人が多すぎる」と痛感しているのだそうです。もちろん怠惰だという意味ではなく、やらなくてもいいことをやらされているばかりに、「やるべきことをやる時間がない」という現状に悩む方が少なくないということ。それはある意味で、「時間を搾取されている」ことでもあるとも考えているようです。

「なんとなく」やっている仕事、「ずっとやっているから」やっている仕事、「やるのが当たり前だから」やっている仕事は、バイアスによって職場に残っているだけの無意味な(非効率な)仕事である可能性が高いのです。

このバイアスというのは非常に強い敵です。本能に紐づけられた最強の敵といってもいいでしょう。このバイアスに打ち勝ち、本当の意味でフラットにタスクを見つめ直すことができれば、搾取構造から抜け出し、時間軸を起点としたあなたの人生の好転が始まります。(「はじめに」より)

そこで本書では「自分の時間を確保できていない」方々に向け、「仕事に追われない」という状態を実現するためのヒントを明かしているわけです。

搾取されている(とすら気づいていないような)時間を取り戻す革命を起こし、その時間をあなたの人生のためになる時間として使ってほしいと考えています。(「はじめに」より)

きょうは、第1章「仕事に追われず『自分の時間』をどう確保すればいいのか?」に焦点を当ててみたいと思います。

最初に考えるべきは「この仕事なくせないかな?」

タスクに対して、「なくす」「へらす」「かえる」ということができないかを検討し、できることについては大胆に実行していくーー。

著者は本書において、そんな方法を提案しています。それは、組織の業務改善で頻繁に使用されている考え方を個人のタスクに適用させたものだそう。とくに最初のステップである「なくす」は、インパクトも効果も大きいものなのだとか。なぜなら、そのタスクにかかる時間・労力すべてが消え去るということだから。

なくすに際しては、「タスクの目的」を考えることが重要です。タスクをやる目的を考えて、「はたしてその目的を達成するために、このタスクは必要なのか?」という視点でタスクを評価していきます。(45ページより)

つまり、無駄なものはちゃんと「なくす」という発想さえあれば、客観的にタスクを評価できるということ。なかには「どうしてもなくせないタスク」もあるでしょうが、そういったタスクも「別に自分がやる必要はない」かもしれないわけです。

では、そんなときはどうしたらいいのでしょうか?

まずは、「できることは全部自分でやる」という固定観念を壊し、状況次第で「タスクは手放せる」というマインドセットにかえましょう。そして、「この仕事(タスク)なくせないかな?」と常に考えるのです。(45ページより)

タスクを可能な限り手放し、不要なものには時間を使わない。そうすれば圧倒的な時間が生まれ、時間を有意義に運用できるようになるということです。(39ページより)

「なくす」ことができなくても、「へらす」ことができるタスク

ただし、なくすことができるタスクは決して多くありません。そこで、どうしてもなくすことができなかった場合は「へらす」ことに頭を切り替えるべき。その際の重要なのは、これまで考えてもみなかった「タスクをへらせないかな?」という発想をすることだそうです。

ビジネスを取り巻く環境というのは、テクノロジーの進化や競争環境の変化によって日々かわっていますので、過去に「へらせない」と判断されたタスクであっても、あるときから「へらせる」となることも往々にしてあります。定期的に見直しをおこなうことも重要です。(51〜52ページより)

へらすことを考えるにあたって、「なにをへらせばいいのかわからない」という場合は、タスクに目を向け、そこに隠れている数字に着目すべきだといいます。たとえば日々行っている会議を例にとってみても、そこには「開催は週1回」「参加人数は8人」「報告項目は5項目」など、いろいろな数字が隠れているはず。

つまり、そういった数字をへらせるかどうか検討していくことが大切だということ。前述したとおり「なくせるタスク」が限られているのだとしたら、へらすことが改善の大きな武器になるわけです。(50ページより)

「かえる」ことで、未来の時間を確保する

でも、なくすこともへらすこともできない場合はどうしたらいいのでしょうか? 著者によれば、そんなときに検討すべきは「かえることができないか?」という視点を持つことだそう。

たとえば、月に1回、部署ごとに社員の有給休暇取得日数を報告するような取り組みを人事部がおこなっているとします。各部署からメールで送られてきた日数の情報を、人事部の担当者が目で見て確認し、人事部フォルダにあるExcelに手で入力する。そんなタスクがあったとします。(55ページより)

当然ながらこのタスクは、いくつかの点で「かえる」ことが可能。たとえば最終的にExcelに入力するのであれば、フォーマットを事前に作成し各部署に共有しておけば、人事部の担当者はそのフォーマットさえ確認すればいいことになります。その結果、数字を見落とすなどのヒューマンエラーの可能性も減るでしょう。

これはひとつの例にすぎませんが、こうして「かえる」ことにより、さまざまな障害を乗り越えることができるようになるはず。その結果、未来の自分の時間をしっかり増やすことができるようになるわけです。(54ページより)

自分らしく生きていくためには、限られた時間を有効に活用することが重要。だからこそ本書を参考にしながら、日常をよりよいものにしてみるべきかもしれません。

Source: ポプラ社

メディアジーン lifehacker
2023年11月1日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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