文章が長くなりがち「ついだらだらと話してしまう」状態から抜け出す2つのコツ

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ひと言でまとめる技術 言語化力・伝達力・要約力がぜんぶ身につく31のコツ

『ひと言でまとめる技術 言語化力・伝達力・要約力がぜんぶ身につく31のコツ』

著者
勝浦雅彦 [著]
出版社
アスコム
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784776213161
発売日
2023/11/01
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

文章が長くなりがち「ついだらだらと話してしまう」状態から抜け出す2つのコツ

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

簡潔に伝えたいと思っていても、「うまく考えがまとまらない」「ついだらだらと要領を得ない話をしてしまう」といった壁にぶち当たってしまうことはあるものです。そこで参考にしたいのが、『ひと言でまとめる技術 言語化力・伝達力・要約力がぜんぶ身につく31のコツ』(勝浦雅彦 著、アスコム)。

著者によれば「ひと言でまとめる技術」とは、ことばを「短く」し、「要約した状態」で相手に伝える技術。難しそうに思えるかもしれませんが、物事をわかりやすく説明するためには、小学校までに習ったことばで十分なのだそうです。

なお、コピーライターである著者はこのことに関連し、意識していることがあるようです。

客観的に

その技術によって幸せになる人の目線に立ち

誰もが理解できるかたちで

ひと言でまとめて、世に打ち出していく

(「この本を手に取ったあなたに知っておいてほしいこと」より)

ちなみにこのような視点は、クリエイティブワークに携わる人だけのものではないのだとか。

「いいたいことがあるのに、うまくまとめられない」「伝えたいことが多すぎて、話が長くなってしまう」というような悩みを抱えているすべての方々にも役立つということ。

そんな本書の第4章「さあ、ひと言でまとめよう」で明かされている「法則」のなかから、2つをピックアップしてみたいと思います。

1文にはひとつのメッセージしか入れない

「膠着語」といわれている日本語には、名詞や動詞などの自立語に、補助となる機能語の助詞や助動詞がくっついています。

そのため、ともすれば「果てしなくだらだらとした文章」になってしまいがち。たとえば、次のようになってしまうことが少なくないわけです。

今日は電車で出かける予定でしたが、雨が降り出したので、みんなで行き先を遊園地から映画館にしようと話したところ、ジブリの新作が上映されていることを思い出し、行くことにしました。(217〜218ページより)

この読みづらい文章を分解すると、以下の5つの内容が入っていることがわかります。

① 今日は電車で出かける予定だった。

② 雨が降り出した。

③ 行き先を遊園地から映画館にしようと話した。

④ ジブリの新作が上映されていることを思い出した。

⑤ みんなで行った。

(218ページより)

こういう場合は、1文にはひとつのメッセージしか入れないという法則を用いるとわかりやすくなるもの。

今日は電車で出かける予定。ところが雨が降り出した。ジブリの新作が上映されていることを思い出し、行き先を遊園地から映画館へ変更した。(219ページより)

気がつくのは、⑤を省略している点。「みんなで行った」は「目的地を変更する=そこに行く」ことなので、省略しているわけです。

ちなみに人が理解しやすい文章の長さは、およそ40〜60字程度といわれています。これは、ビジネス文章や説明を意図とする文章を書くうえでも基準になるはずです。(217ページより)

同じことばが文中に2回以上出てくる場合は?

「ことばが豊かな人」とは、「語彙力が豊かな人」。そして、わかりやすい文章にするためには、同一文内で、できるだけ同じことばを使うべきではないという点も忘れたくないものです。

このことに関連し、著者は次のような例文を引き合いに出しています。

私は村上春樹の小説が好きです。同時に、私は村上龍の小説も好きです。村上春樹と村上龍はほぼ同時期に名前が売れ、W村上などと呼ばれましたが、私は不満があります。なぜなら、村上春樹と村上龍の作風は全然違うと私は思うからです。(224ページより)

この文章が読みづらいのは、「私は」が繰り返されたり、「村上春樹」と「村上龍」が何度も出てきたりするから。短文で区切られているのはいいとしても、これでは文章全体に幼稚なイメージが生まれてしまいます。

そのため、同じことばが文中に2回以上出てくる場合は、いいかえるか省略することを意識したいもの。

私は村上春樹と村上龍、どちらの小説も好きです。二人はほぼ同時に名前が売れ、W村上などと呼ばれましたが、不満があります。なぜなら、彼らの作風は全然違うからです。(225ページより)

語り手は自分なので、「私」は一度でOK。村上春樹と村上龍に関しては「二人」「彼ら」といいかえれば、すっきりと意味の通りやすい文章になるわけです。もちろんこれは一例にすぎませんが、大いに参考にしたいところ。

いずれにしても、「重複することばをなにに置き換えるか」は語彙力のひとつの目安となるはずです。

とはいえ語彙力が、そう簡単に身につくものではないのも事実。小説や随筆など、良質な文章に触れることによって少しずつ育っていくものなので、いろいろな文章と接する機会を日常的に持ちたいものです。(240ページより)

無駄を省いて簡潔に伝えることができれば、誤解されてしまうようなリスクも減っていきます。そのため必然的に、人間関係もスムーズになっていくことでしょう。

そういう意味でも、「思いがうまくまとまらない」と悩んでいる方は本書を参考にしてみるべきかもしれません。

Source: アスコム

メディアジーン lifehacker
2023年11月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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