『人生を抱きしめる』遠藤周作著

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

『人生を抱きしめる』遠藤周作著

[レビュアー] 産経新聞社

生誕100年を迎えた作家の初期エッセー集。単行本未収録の文章を含む40編余りが並んでいる。

自動車免許取得までの悪戦苦闘を回想するユーモラスな話もあれば、まじめな文学論もある。「孤独と信頼-文学雑感」と題した文章では、ヴィクトール・フランクルによるアウシュヴィッツ収容所の観察記録『夜と霧』の読書体験をつづる。「どういう極限状態におかれても、人間というものには自由がある」。そんな真理に目を留めた著者はやがて「人間への信頼」もテーマに代表作『沈黙』を書く。人気作家の作品を深く味わうためのヒントが詰まっている。(河出書房新社・1980円)

産経新聞
2023年11月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク