集中力が続かない理由は性格・スキルではなく、自律神経が乱れる環境にあった!

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自律神経の名医が教える集中力スイッチ

『自律神経の名医が教える集中力スイッチ』

著者
小林弘幸 [著]
出版社
アスコム
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784776213208
発売日
2023/11/30
価格
1,430円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

集中力が続かない理由は性格・スキルではなく、自律神経が乱れる環境にあった!

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

集中すること、あるいは集中力を持続させることはとても難しいもの。

しかし『自律神経の名医が教える集中力スイッチ』(小林弘幸 著、アスコム)の著者によれば、自律神経のバランスをコントロールし、安定した状態を保つことができれば、集中に関する悩みは解決できるのだそうです。

自律神経とは、私たちの内臓の働きや代謝、体温などの機能をコントロールするために、無意識のうちに24時間働き続けている、いうなれば自動運転システムです。

人が起きているときに活発になる「交感神経」と、リラックスしているときや寝ているときに活発になる「副交感神経」で構成されています。

両者のバランスがうまく保たれていれば、集中力を持続することができるのですが、ひとたびこのバランスが崩れると、持続集中力、も乱れます。(「はじめに」より)

自律神経が乱れると、持続集中力が低下するということ。だとすれば逆に、自律神経を整えれば、集中力を持続させられるはず。

だからこそ、交感神経と副交感神経のバランスをいい状態に保ち、心をリラックスさせる必要があるのです。

あなたが集中できない理由は、性格やスキルの問題ではなく、自律神経が乱れやすい環境のせいなのです。

だから持続集中力を手に入れたいと思ったら、自ら生活習慣や意識を変えていく必要があるのです。(「はじめに」より)

「本番での勝負強さ」が求められる多くのトップアスリートや文化人、アーティストをサポートしてきた著者は、そういった方々が行っている集中力の高め方や集中するためのスイッチの入れ方は、多くの方の参考になるはずだと述べています。

大切なのは、途切れてしまってもすぐに集中しなおせるよう、自律神経を自在にコントロールできるようになること。

そうした考え方に基づく本書の第2章「集中力を上げる5つの練習」のなかから、きょうは「集中に入りやすくなる習慣を作る6つのステップ」に注目してみたいと思います。

STEP1 起きる時間を少しずつ早くする

集中に入りやすくするためには、朝の過ごし方が大切。

一度でも自律神経のバランスが崩れると、以後2〜3時間は整ってくれないため、せっかくのゴールデンタイムを棒に振ってしまうことになるのです。そこで著者が勧めているのが、起きる時間を早くすること。

ただし、いきなり1時間も2時間も早起きするのは難しいので、5分、10分、20分と、段階を踏みながら早起きする習慣をつくっていけばOK。

朝の時間に余裕をつくることが心に余裕を生み、自律神経のバランスを整え、それが集中するための土台となってくるわけです。(153ページより)

STEP2 「見ざる・聞かざる・言わざる」で心に余裕をつくる

心の余裕をつくるためには、さまざまな情報をシャットアウトすることも重要。

たとえばSNSを使えば、見たくない、知りたくない情報が意図せず目に入ってしまうもの。しかし、それは人間関係のストレスに自ら飛び込んでいくようなものです。

そこで、まずは見ないこと。集中力を妨げる通知音もオフにして聞かないこと。反応が気になってしまうので自分もいわないこと。集中したいときにはスマホ自体を手元に置かないこと。これらを徹底すべき。(154ページより)

STEP3 外との温度差を7℃以内にする

自律神経は温度差にも非常に敏感

そのことを念頭に置くと、部屋の温度調節も重要になってくるようです。暑い日にクーラーをガンガンに効かせるなど急激に温度が変わると、自律神経はその温度差に戸惑ってしまうから。

外気温と室内の温度差が7℃以上あると自律神経は過剰に働いてしまい、場合によっては寒暖差疲労で過労を起こしてしまうことも。

そこで、冷え性や頭痛、肩こり、首こり、全身倦怠感、イライラ、不安、めまい、胃腸障害、アレルギーなどの症状が出た時は、部屋の温度差を快適に保つよう心がけるべき。(156ページより)

STEP4 定期的に深呼吸してよい酸素を全身に届ける

自律神経のバランスをとるためには、姿勢にも気をつけたいところ。

背中が丸まっている状態だと、首(頸部)の筋肉が緊張するため頭と胴体をつなぐ神経や血管に負担がかかり、血流が滞って脳や内臓に充分な血液や酸素を送ることができなくなってしまうのです。

ずっといい姿勢をキープすることは難しいので、30分に1回くらいはゆっくりと深呼吸をして副交感神経に働きかけつつ、もう一度ビシッと姿勢を整え直して血流の改善を促しましょう。(160ページより)

姿勢を正すポイントは、しっかり骨盤を立て、お尻を椅子の背もたれにつけるようにして座ること。

また、上を向いて頭が上がると、気道が開いて深い呼吸ができるようになるため、集中できないときには天井を見上げるのもいいようです。(159ページより)

STEP5 整理整頓で集中すべきことを明確にする

高い集中力をつくり上げるためには、「いま、なにを優先し、どこまでをノルマとすべきか」を意識することが大切

複数の仕事をそつなくこなせる人のマルチタスク能力は、「ひとつの作業に集中し、それを達成して次に進む」を繰り返すことによって発揮されているといえるでしょう。

「集中→達成」を繰り返すことこそがマルチタスクの本質だという考え方。そのため、まずはやるべきことを整理整頓するべきであるようです。(161ページより)

STEP6 一日を上手に終わらせて、翌日に備える

明日の集中力を高めるためには、前日をいかに終わらせるべきかが重要。

後悔や悲しみ、怒りなどは自律神経にストレスを与えるため、早めに感情をリセットするべきなのです。

そこで著者が勧めているのが、自身も続けているという「3行日記」。その日にあった出来事を、次の3ポイントに要約して書き出すという作業です。

① 1行目は「今日、いちばんダメだったこと(失敗したこと)」

② 2行目は「今日、いちばんよかったこと(うれしかったこと)」

③ 3行目は「明日、必ずやりたいこと(小さな目標)」

(164ページより)

ポイントは、①→②→③の順番に書くことと、手書きであること。また、感情を整理するための作業なので、自分の心に素直にしたがって書き出すべきだといいます。(163ページより)

途切れることのない集中力を手に入れることができれば、仕事や勉強の効率、ひいては生活の質までもが想像以上に上がるはずだと著者は断言しています。そんな日常を手にするために、本書を参考にしてみてはいかがでしょうか?

Source: アスコム

メディアジーン lifehacker
2023年12月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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