新しいスキルで未来を切り拓くリスキリング、自分らしい働き方をつかみとる最短距離は?

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

Live My Life 自分らしく働くための 39のヒント

『Live My Life 自分らしく働くための 39のヒント』

著者
田中 美和 [著]
出版社
KADOKAWA
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784046065650
発売日
2023/10/26
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

新しいスキルで未来を切り拓くリスキリング、自分らしい働き方をつかみとる最短距離は?

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

「お金のため」「生活のため」「自己実現のため」、あるいは「社会貢献のため」など、働く目的は人それぞれ。しかし『Live My Life 自分らしく働くための 39のヒント』(田中美和 著、KADOKAWA)の著者は、誰もが働くことを通じ、究極的には「幸せになること」を求めているのだと感じているそうです。

女性向け雑誌の編集記者を経てフリーランスとなり、そののち働きたい女性と企業とを仲介する事業を始めたという人物。10年にわたって2300人以上に、主としてフリーランスやリモートワークで働ける仕事を紹介してきたのだといいます。女性のために始めた会社ではあるものの、最近では男性の登録者数も増えているのだとか。

登録理由はさまざまですが、フリーランスやリモートワークのような「時間と場所にとらわれない働き方」を通じて「自分らしく生きること」そして「幸せになること」をみなさん求めています。私たちの会社の理念は「Live Your Life すべての人に、自分らしい人生を。」です。何をもって「自分らしい」とするかは人それぞれ。しかしながら「自分らしい働き方」は「自分らしい生き方」につながっていきます。(「PROLOGUE」より)

なぜなら、「働くこと」は「生きること」そのものだから。そこで、これまで「自分らしい生き方・働き方」の実現に尽力してきたという著者は本書において、「誰もが自分らしい生き方・働き方を実現できる方法」を具体的に提示しているのです。

重要なポイントは、自分の強みや弱み、価値観を知ったうえで、自分らしい人生を自分の手でつくっていくこと。そしてそれは誰にでも、いつからでも始めることができるそうです。

だとすれば、ぜひとも参考にしてみたいところ。きょうはChapter4「これからの時代に求められる人材とは?」に焦点を当ててみましょう。

新たなスキルを学び続けることで「求められる人材」へ

かつては当たり前のように存在していた終身雇用制度が過去のものとなったり、コロナ禍の影響でテレワークが一般化するなど、短期間のうちに働く環境は急激な変化を遂げました。だとすれば個人としてのスキル・経験の深め方も変わってくるのは当然です。そこで著者が引き合いに出しているのは「リスキリング」。

リスキリングとは「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」を意味しています。(148ページより)

企業はグローバル化にともなって激しい競争に打ち勝ち、企業としての競争力を高めるべく、社員のスキルを向上させる必要があります。またテクノロジーの進化によって仕事の質や内容が目まぐるしく変化しているだけに、新しい技術を社員に学んでもらう必要性も増しています。

また、会社が個人を時間とお金をかけて教育・育成するという前提が崩れつつある以上、個人にとっても、必要なスキルと経験を自律的に積み上げていくことが求められます。時代の流れに沿って、かつ自分らしく働けるような生き方を実現できるスキルを、一生涯を通じて学び続ける必要があるのです。

しかも「新しい知識やスキルを学ぶこと」と「自分らしい生き方・働き方を実現すること」には強い関連性があるのだとか。

私が共同代表を務める会社で提供するリスキリングプログラムでは、新しいテクノロジーや知識を学んで就業に結びつけることを支援していますが、育児や介護で離職中の人や、非正規で働いている人、非IT系で働いている人が学びを通じて、より自分らしさを発揮できる仕事へとたどりつくという事例が複数見られます。(150ページより)

新たなスキルを学ぶこと、学び続けることが、仕事獲得につながりやすくなるということ。またそれは、「働き方を変えたい」と思ったときに、それを実現するきっかけにもなるといいます。(148ページより)

自分に合う学びを見つける4つのヒント

「でも、なにを学べばいいのだろう?」と感じる方もいらっしゃるでしょう。著者によればポイントは、学んだことを「新しい仕事に活かす」こと。そうした観点に基づき、仕事に生きる学びの選び方を紹介しています。

1. 効率的・効果的な仕事のためにスキルを学ぶ

「身近な業務のなかに『やりたいけど、スキルがないから実現できないこと』を見つけましょう。そこから逆算して、必要なスキルを身につけるのがおすすめです」と教えてくれたのは、ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会(通称ノンプロ研)を主宰するタカハシノリアキさんです。

「たとえば今の仕事に関して『長時間労働』『単純な反復作業』などの課題があれば、プログラミングを学ぶのがいいのではないでしょうか。それまで2日かかっていた作業が、10分で終わるなんてこともありますよ」(タカハシさん)(153ページより)

2. 就きたい仕事に必要なスキルを学ぶ

「自分が就きたい仕事で求められるスキル」がわからないのなら、具体的なロールモデルを参考にしてみるべき。社内外ですでにその仕事をやっている人を頭に思い描き、その人がこれまでどんな経験を積んできたのかについて考えてみるわけです。身近な人であれば、時間をもらって質問してもいいでしょう。

3. 理想のライフスタイルを叶えるために学ぶ

「みなさんはどんなライフスタイルを送りたいですか? 理想のライフスタイルを実現できるように学ぶのもひとつの方法です」と教えてくれたのは社会人の学びに詳しいベネッセコーポレーション社会人教育事業本部の飯田智紀さんです。

「たとえば、『地方に暮らしながらテレワークで働きたい』『子育てをしながら在宅で仕事をしたい』といった理想のライフスタイルがありますよね。自分がかなえたい暮らしを言語化したうえで、それが実現できる仕事を考え、必要なスキルを学ぶのです」(155ページより)

4. 「みんなの学び」を参考に学ぶ

「よく学ばれているもの」は、それだけ社会的に必要とされている学びだということ。そこで、「みんなが学んでいるもの」を参考にして学ぶのもいいようです。(152ページより)

働き方が多様化し、選択肢が増えるのはとてもよいことだと著者は述べています。たしかにそのとおりですし、だからこそ本書を参考にしつつ、数ある働き方のなかから「自分らしい働き方」を見つけ出したいところです。

Source: KADOKAWA

メディアジーン lifehacker
2024年1月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク