美術家である著者は、20代で自らの死を表現したポスターを制作し、広告業界誌に死亡通知を掲載したことがある。故郷の友や、親交のあった作家、三島由紀夫ら自分よりも早く逝った友人をテーマに描いた作品も多い。「死」は著者の作品の重要な要素だ。
幼い頃の神戸空襲や20代で養父母を失った体験が、「死」への恐怖を強める要因になっている。だからこそ「生の証」として絵を描き続けるのだという。
三島のほか、アンディ・ウォーホルらとの交流のエピソードを交えながら、巨匠が創造の源泉にある「死」について語った一冊。(集英社新書・1210円)
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2024年1月28日 掲載
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