<書評>『タバコの煙、旅の記憶』丸山ゴンザレス 著

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タバコの煙、旅の記憶

『タバコの煙、旅の記憶』

著者
丸山ゴンザレス [著]
出版社
産業編集センター
ジャンル
歴史・地理/旅行
ISBN
9784863113947
発売日
2024/01/24
価格
1,430円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

<書評>『タバコの煙、旅の記憶』丸山ゴンザレス 著

[レビュアー] 荻田泰永(冒険研究所書店店主)

◆人との濃密な触れ合い重ね

 旅に紫煙はよく似合う。

 私自身、タバコは吸わないが、このエッセイを読むと喫煙者が羨(うらや)ましくなってくる。要所での一服が美味(おい)しそうだ。

 丸山ゴンザレスは、危険地帯ジャーナリストとして有名な人物。私も何度か出演したTBS系「クレイジージャーニー」で思い当たる人も多いだろう。

 私は無人の極地を1人で冒険している。丸山はその反対に、人間の営みが鍋の底で煮詰まったような、濃密で、汗と危険の香りが漂う世界を旅している。

 そんな旅のエッセイ15編が収められた本書は、丸山の若き日の旅の思い出から、現在に至るスラム街での取材記まで多様な旅が綴(つづ)られている。

 テレビで見る丸山は強面(こわもて)で近寄り難い雰囲気を持っているかもしれない。彼とは私も親しくしているが、実際の丸山は人懐っこく、気取らない好漢だ。

 旅を通して重ねてきた人との触れ合いが彼を形作り、今に繫(つな)がっていることがよく分かる。そして、タバコは彼の旅の重要な道具であることも、見逃せない。

(産業編集センターわたしの旅ブックス・1430円)

1977年生まれ。出版社勤務などを経てジャーナリスト。

◆もう一冊

『世界の混沌(カオス)を歩く ダークツーリスト』丸山ゴンザレス著(講談社文庫)

中日新聞 東京新聞
2024年3月3日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

中日新聞 東京新聞

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