14歳で妊娠・出産シーンを演じた天性の女優「山口まゆ」が語る母性と家族との距離

そして、僕たちは舞台に立っている。

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小学生の頃から子役として活躍してきた女優・山口まゆさん。「コウノドリ」、「相棒-劇場版Ⅳ」など話題作に出演してきた山口さんが事務所に所属して10年目の節目の年に「これだけはわかっている」で初舞台に立ちます。これまでのキャリア、役作りについて、そして「家族」をテーマにした本作に挑む想いを語り尽くします。

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ランドセルを背負って通った現場

 とにかく踊ることが大好きで、家中を踊りながら移動するような子どもでした。
 幼稚園の頃から仲の良いお友達と一緒にバレエを習わせてもらっていたので発表会には出演したことはありましたが、プロの演技を観たこともなければ、プロになろうとも、特に思ってはいませんでした。
 初めて本格的な舞台を観たのは小学生の頃、劇団四季の「サウンド・オブ・ミュージック」です。舞台鑑賞好きな親と一緒に行ったのですが、華やかなお化粧をしたたくさんの俳優さん達がキラキラ歌って踊っている姿に圧倒され、強烈に突き刺さって、舞台という世界に心奪われてしまったんです。私が女優を目指した原点です。
 とは言え「やってみたいなぁ」くらいの気持ちだったので、子役専門の小さな事務所に入ったものの、お稽古のような遊び感覚で、お仕事とは考えていませんでした。
 ドラマのエキストラ出演も多く、ランドセルを背負って現場に行っていました。映像のお芝居を知り、現場に行く回数が増えるにつれて、芸能というお仕事全般に興味を持つようになりました。けどやっぱり遊びでしかなかったので、中学進学のタイミングで、一度リセットしようと事務所を辞めたんです。活動休止みたいな大事ではなくて、習い事を変えてみようかな程度の軽い気持ちでした。
 それなのにお芝居への気持ちが頭を離れなくて。中1の秋にオーディションを受けたら、憧れの女優・吉瀬美智子きちせみちこさんが所属していらっしゃる事務所から合格をいただけて。今の事務所とご縁が繋がり、所属しました。それから色々なオーディションを受けて、ありがたいことに合格できて、毎日一生懸命頑張っていましたが、めまぐるしく変わる環境に私は「何がなんだかわからない」という感じでもいました(苦笑)。