明文堂書店石川松任店「著者の多才さが分かる一作」【書店員レビュー】

レビュー

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屍人の時代

『屍人の時代』

著者
山田 正紀 [著]
出版社
角川春樹事務所
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784758440356
発売日
2016/09/15
価格
836円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

明文堂書店石川松任店「著者の多才さが分かる一作」【書店員レビュー】

[レビュアー] 明文堂書店石川松任店(書店員)

軍靴の足音が忍び寄る昭和初期を舞台にした傑作『人喰いの時代』で登場した名探偵・呪師霊太郎を主役にしたシリーズの最新作(2016年9月29日現在)に当たる本書は、舞台となる時代の幅が広がり、幻想性が強まった内容にもなっています。本書を読むために、先に『人喰いの時代』を読んでおく必要はないと思います(ただ事前に読んでおくと、いくつか気になる点が出て、想像の幅が広がります)が、『人喰いの時代』自体、一個の作品として素晴らしい作品なので、本書が気に入った人には、本書と併せておすすめします。
幻想味の強いものや冒険の要素が強いものなどバラエティに富んだ連作集になっている本書ですが、どれもミステリとして忘れがたい結末が用意されています。著者の多才さが分かる一作となっています。
ちなみに本書には随所に横溝正史が創造した名探偵・金田一耕助が想起される場面があるのですが、山田正紀は金田一耕助が登場する作品(『僧正の積木唄』)も書いていて、かの探偵への特別な思い入れを感じます。 

トーハン e-hon
2016年9月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

トーハン

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