ボーイズラブの礎を築き、少女漫画界に革命を起こした竹宮惠子 少年の美しさについて語る

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 BS11「宮崎美子のすずらん本屋堂」(3月25日放送回)に漫画家の竹宮惠子さん(66)が出演。“ボーイズラブ”の礎を築いた名作『風と木の詩』の創作秘話を語った。

■自伝を漫画では描かないのか?

 竹宮さんは1月に初の自伝『少年の名はジルベール』(小学館)を出版した。少女漫画版トキワ荘といわれた「大泉サロン」での生活や「花の24年組」と呼ばれた女性漫画家たちとの交流。そして少女漫画に革命を起こした『風と木の詩』や『地球(テラ)へ…』などのベストセラーの創作秘話。また現在京都精華大学の学長として学生たちに教える、クリエイターとして大切にすべき事など、創作することについて余すところなく語られた半生記だ。コメンテイターの篠山輝信さん(32)は竹宮さんの葛藤や出会いが面白く、自叙伝だけで漫画になるんじゃないのかと絶賛。竹宮さんは漫画で描かないかと依頼があったことも明かしたが「漫画のキャラクターにしてしまうと演出が入るため嘘つきになってしまいそう」と考え、漫画で描くことをやめたという。

123『風と木の詩』(白泉社文庫)、『地球(テラ)へ…』(中公文庫)

■ボーイズラブのはじまり

 番組では1976年に発表された『風と木の詩』の構想から発表に至るまでの竹宮さんの紆余曲折が語られた。『風と木の詩』は少年愛をはじめて少女漫画で描き、少女漫画界に革命を起こしたといわれる作品だ。竹宮さんは『風と木の詩』の構想前から少年を主人公にした作品をずっと描きたいと思っていたという。そして具体的に思いついたのは画家ミレーの描いた「ダフニスとクロエ」という絵画に出会ったことからだった。展覧会でみたその絵を気に入り、ポスターを部屋に貼って眺めているときに『風と木の詩』を思いついたという。竹宮さんには半裸の少年と少女の手足がとても綺麗にみえ、それを少年二人のようなイメージでみていたことが明かされた。そして竹宮さんは少年の美しさについて「大人でも子供でも、女でも男でもない、描くことに意味のあるかたち」だと述べ、その儚く「どこにもないもの」の存在を少女たちに知らせたかったと、当時の思いを語った。

■少年の姿を借りた

 フルカラーで少年2人のベッドシーンからはじまる『風と木の詩』は発表当時物議を醸した。竹宮さんは当時の騒動を「お母さんたちは色々あったと思います」と苦笑いしながら振り返った。しかし「少年の姿を借りることは、女の子たちにとっていい方法だった。自分たちのことじゃない(ようにみえる)」とその表現方法が性愛を生々しく描かないことにも役立ったと明かされた。

 その日の番組には元サッカー選手、澤穂希さん(37)の母、澤満壽子さんも出演。澤選手を支え続けた満壽子さんの心情が綴られた著書『チャンスの波に乗りなさい』(徳間書店刊)が紹介された。

 「宮崎美子のすずらん本屋堂」は次回で最終回。最後のゲストは作家の北方謙三さん(68)。レギュラーコメンテイターの成井豊さん、ハセベバクシンオーさん、山田真哉さん、ペリー荻野さん、浜本茂さんも勢ぞろいする。最終回はBS11で4月1日金曜日よる10:00から放送。4年間続いた「宮崎美子のすずらん本屋堂」の有終の美をお見逃しなく。

Book Bang編集部
2016年4月2日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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