プログラミング教育が小学校で必修化の今、必読の新書

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プログラミング教育はいらない

『プログラミング教育はいらない』

著者
岡嶋裕史 [著]
出版社
光文社
ジャンル
社会科学/教育
ISBN
9784334043971
発売日
2019/02/15
価格
814円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

知らないでは済まされないプログラミングのイロハ

[レビュアー] 小飼弾

 来年、プログラミング教育が小学校で必修化されるそうだ。選者には、嫌でも付き合わされる子供たち、義務を増やされる一方の教師に対する同情と、自身や娘たちがそれ以前に義務教育を修了していてよかったという感慨しかなかった。が、それを覆す事件が起きた。

 兵庫県警が13歳の女子中学生を補導したのである。不正指令電磁的記録供用未遂の疑いで。彼女は何をしたのか?

for(;;)

 alert(“バカは止まらない”)

 に相当するプログラムが掲載されたサイトのURLを、掲示板に投稿したのである。そもそもそのプログラムを不正指令電磁的記録とみなした時点で兵庫県警は全世界の笑い者となったのであるが、女子中学生はそのプログラムを作成さえしておらず、それがどこにあるかを書き込んだだけである。つまり、読者のあなたが本記事を紹介したら、本記事を執筆した選者ではなく、あなたが逮捕されたということである。

 書けなくてもどこにあるか示しただけで御用。プログラミングは誰にとっても他人事ではなくなってしまったのだ。それを小中学校で学べなかった我々はどう備えるべきか。『プログラミング教育はいらない』(岡嶋裕史)はその点で一読に値する。プログラミングとはいかなる行為か、本書にある程度は知らないと文字通り話にならないのだから。各都道府県警サイバー犯罪対策課は必読だろう。ネットでかいた恥は都道府県どころか地球を巡るのだから。

新潮社 週刊新潮
2019年3月28日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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