現在では拭いがたい悪印象がこびりついている「サラ金」という言葉。だが、高度成長期にこの業態が生まれた当初は、銀行が個人向け融資に消極的な中で、安定した勤務先を持つサラリーマンを有望な貸付先として見いだした革新的な金融機関の側面もあった。
しかし、主婦や低所得者へと融資先が高リスク層に広がり、債権回収の効率性も徹底的に追求され、過酷な取り立てが社会問題化。サラ金を正社員男性と主婦という戦後家族システムから生まれた時代の落とし子ととらえて、路地裏の日本経済史を描き出す力作。(小島庸平著、中公新書・980円+税)
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2021年3月14日 掲載
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