1966年から10年間で千万人単位の死者を出した中国の文化大革命。それは単に中央の政治闘争にとどまるものではなく、周縁部の内モンゴル自治区では入植した漢民族による組織的な「ジェノサイド(民族大量虐殺)」の形で展開された。モンゴル人150万人のうち、中国の公式見解分だけでも34万人以上が逮捕され、約3万人が殺害された。実数はこれよりはるかに多いという。
現在のウイグル弾圧とも酷似する実像に、モンゴル出身の研究者が大量の未公開資料や証言を集めて肉薄する。(草思社文庫・上巻1210円、下巻1100円)

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2022年7月24日 掲載
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