気が利く人は職場でここを見ている!人間関係が変わる「気づかい思考法」

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

気づかいの壁

『気づかいの壁』

著者
川原礼子 [著]
出版社
ダイヤモンド社
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784478116098
発売日
2023/02/16
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

気が利く人は職場でここを見ている!人間関係が変わる「気づかい思考法」

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

若手という位置づけにあった20代は、「スキルや理論」で仕事をこなし、結果さえ出していればなんとかなったはず。しかし30歳を迎えるころから、それだけでは立ち行かなってくるもの。

営業や顧客対応担当者に向けたコミュニケーションスキルの研修講師などを手がけているという『気づかいの壁』(川原礼子 著、ダイヤモンド社)の著者は、そう指摘しています。

たしかに毎年、後輩は増えていきますし、役職がつけば部下も生まれることになります。また業務の進捗のみならず、その人たちと過ごす「日常」にも気を配ることが必要となってくるでしょう。

だとすれば、「意識して自分を変える」か、あるいは「そのまま変わらない」かによって自身の評価に影響が出てくるのは当然の話。大きな仕事を任されるとか、リーダーに選ばれるとか、意見を求められる存在になるためには、自分自身がさまざまな意味において“意識的”になる必要があるわけです。

鈍感なままベテラン社員になってしまうと、もう、この部分は変えられません。

「理」だけで仕事をしてきた人は、必ず行き詰まります。

手遅れになる前に必要なもの。

それが、「理」と対になる「情」、つまり「気づかい」における思考法なのです。(「はじめに」より)

とはいえ、そんな思考法を身につけることは決して簡単ではありません。そこで著者は本書において、「気づかいの壁」を乗り越えるために思考法を明かしているわけです。

きょうは第2部「気づかいの『5つのコツ』内の第5章「覚えてくれているという安心感――『記憶』のコツのなかから、いくつかのトピックスを抜き出してみたいと思います。

「細々とした仕事」を誰がやっているか、把握しておく

オフィスでの人間関係において重要なのは、“通常の状態”を知り、“通常との小さな違い”に気づけるようになること

通常の状態を知っていれば、オフィス内での“些細な違い”をキャッチできるようになります。たとえば、「〇〇さんは朝から覇気がない(いつもは誰よりも元気に出社してくるのに)」「会議の空気が重くなった(先週まではたくさん意見が出ていたのに)」というように。そのため「どうしたの?」と声をかけたり、会議での質問の仕方を変えてみたりすることもできるわけです。

同じく、「会社の備品を誰が補充しているか」とか「なぜ、コピー用紙が切れないのか」などの些細なことに目を向けてみるのも大切。誰かがそうした「細々とした仕事」をやっているからこそ、オフィスの快適な状態が保たれているということに気づくべきだということです。

小さな違いに気づけるかどうかは、個人差があります。

とはいえ、日々の職場環境の「通常を知っておくこと」「誰が何をやっているかを把握しておくこと」は、誰にでもできることです。

見ていたつもりでも、意識しないと認識できないことはたくさんあります。

そして、その通常の状態を維持してくれている人に感謝して、タイミングを見つけて、「いつもありがとう。何かあったらいつでも声をかけてね」

ということを伝えてみましょう。(229ページより)

「見てくれていた」「知ってくれていた」と相手に伝えることが、その人を幸せにするのです。(226ページより)

本人が「いないところ」で褒める

たとえば誰かから「さっきのプレゼン、よかったよ」と直接いわれたとしたら、当然のことながらうれしく感じることでしょう。しかし、その一方で少し照れくさくなり、なんと返事をすべきか迷ってしまうかもしれません。

では、「〇〇さんが『さっきのプレゼンよかった』ってほめていたよ」と、誰かから間接的にほめられたとしたら? おそらくそのほうが照れすぎてしまうことなく、うれしさも倍に感じるのではないでしょうか? 直接いわれるよりも、「どこかで自分のことが話題になっていること」に自尊心がくすぐられるからです。

そうなのです。褒め言葉は、どこかで誰かにつぶやくと、そこにいない本人に回り回っていくのです。

褒めた人にとっても、「いつも人のいいところを見ている」という好印象につながります。もちろん、それを目的に褒めるのはあざといと思いますが、いい部分を見つけたのなら、積極的につぶやくようにしてみましょう。(237ページより)

ただし、本人がいなかったとしても、絶賛したりほめちぎったりしないようにすることも大切。誰がどんな嫉妬心を抱くかわからないからです。したがって、「ひとことだけを、ぽろっと」程度が記憶に残りやすく、ちょうどいいということ。(234ページより)

小さな約束ほど「守り抜く」

日常生活において、「今度ランチにでも行こうね」というようなことばをかける機会は少なくありません。

しかし多くの人は、そういったことばを「お疲れさま」くらいの感覚で口ぐせのように使っているのではないでしょうか。

だから忘れてしまいがちなわけですが、いわれたほうは案外、忘れていなかったりもするものです。

実際に、その言葉を受け止めて、「いつ誘ってくれるのかと楽しみに待っていたけど、誘われなかったから、嫌われているのかもしれない……」と悩む新入社員もいます。

声をかけたほうの人は、「まあ、たぶん忘れているだろうな」と、都合よく考えてしまいます。

若手にとっては先輩から誘われたランチは特別なものです。気軽に声をかけたことが、小さな裏切り行為になることもあるのです。

人はそんなに簡単に忘れないものです。(244〜245ページより)

そこで、「小さな約束」はスマホなどにメモしておき、タイミングを見て守るようにするべき。それを怠ると、場合によっては「あの人は口だけだ」というイメージが付いてしまう可能性もあります。しかもそういうイメージは、なかなか払拭できないものでもあります。

だからというわけではありませんが、まずはこれまで「今度ランチしようね」と声をかけた人たちをひとりずつ思い出してみることが大切。そして本当に誘ってみれば、「覚えていてくれたんだ」と相手は安心してくれることになるかもしれません。(242ページより)

紹介されている具体的な事例は、著者のことばを借りるなら「『たったこれだけ?』と思うほど些細なことなのに、されたほうは心が動き、仕事のチャンスに結びついたものばかり」。だからこそ、自身のこれまでの経験と照らし合わせながら、柔軟に取り入れることができるわけです。

Source: ダイヤモンド社

メディアジーン lifehacker
2023年2月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク