『23時のおつまみ研究所』
- 著者
- 小田 真規子 [著]/スケラッコ [イラスト]/スケラッコ [イラスト]
- 出版社
- ポプラ社
- ジャンル
- 芸術・生活/家事
- ISBN
- 9784591178089
- 発売日
- 2023/06/14
- 価格
- 1,430円(税込)
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「かまぼこは何cmがおいしい?」どこから読んでも面白い実験レシピ
[レビュアー] 夢眠ねむ(書店店主/元でんぱ組.incメンバー)
主人公は定年退職後、嘱託として働いている山ノ内テツローさん61歳。妻が急にマレーシアに住む!と宣言し、30ウン年ぶりの一人暮らしを始めることに。一人の晩酌、スーパーのお惣菜やコンビニおつまみも美味しいけれど「ずっとこれじゃあなあ……」と自分でおつまみを用意してみるも、なんだかイマイチ。そんなとき、ふいに立ち寄った“のみ処きつね”で出会ったのが……!?というストーリー。スケラッコさんの漫画と小田さんの理論的な実写レシピ、テツローさん目線の日記風コラムで構成されており、どこから読んでも面白い。
私もなんとなくの感覚で作ってみたおつまみが美味しくなくて「こんなはずじゃなかったのに」とがっかりすることがあるが、それって余計なことをしすぎたり、温度や湿度、ほんの少しの差が原因だったのか!と目から鱗の連続だ。
“平日きのこバター”と称して月曜日から金曜日までさまざまなきのこと調味料を使って同じ調理法でも違いを楽しんだり、“さみしくない乾き物”という頁ではあたりめや鮭とばに水やり(!?)して温めたり、既製品もちょっとの一手間で豊かにする。
“実験レシピ”のコーナーでは「かまぼこは何cmがおいしい?」「一口目で味が決まる枝豆のゆで方は?」「塩豚は何日目にうま味が出てくる?」「あじのなめろう、何回たたくとおいしい?」など、手間のかかる実験をしてくれているので論文的に読むのも面白いし、いやいや自分の好みはこっちかも、と好奇心を掻き立てられて大人の自由研究を夜な夜なはじめてしまいそう。
「おつまみは『料理』にあらず『娯楽』なり」と声高に叫ぶ本書、今まで料理をしたことがない人でもゆっくり自分のためにキッチンに向かうのって楽しそうかも、とわくわくさせてくれる。仕事の後に、休日に、娯楽としておつまみを作るのはいかがでしょう。