頭のいい人の整理されたメモの取り方、思考が整う「ノート」のつくり方

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「思考」が整う 東大ノート。

『「思考」が整う 東大ノート。』

著者
西岡壱誠 [著]
出版社
ダイヤモンド社
ジャンル
社会科学/教育
ISBN
9784478107010
発売日
2023/10/05
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

頭のいい人の整理されたメモの取り方、思考が整う「ノート」のつくり方

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

同じことをしていても、頭がいい人とそうでない人とでは結果に差が出るもの。それは勉強であれ読書であれ、なんについてもいえることかもしれません。では、その隔たりとはなんなのか?

「思考」が整う 東大ノート。』(西岡壱誠 著、 ダイヤモンド社)の著者はかつて、そんな疑問に直面し、そのことについて考えを巡らせてきたのだそうです。

僕はもともと、はっきり言って「バカ」でした。

高校3年生のときの模試の偏差値は35で、英語の成績は100点満点中3点。勉強していないからその成績だったのかというとそうではなく、きちんと1日1時間、勉強机に向かっているのに一向に成績が上がらない典型的なバカでした。

そこで、僕はあることをしました。それは、頭のいい人からノートを見せてもらうことです。「どんなノートを取っているの?」と、50人以上の友達から話を聞いたのです

(「はじめに」より)

その結果、頭のいい人のノートのとり方は全然違うということに気づいたのだとか。情報がていねいにまとまっていて、あとから確認しても読みやすかったというのです。ノートには、その人の思考回路や、思考の型が如実に表れるもの。論理的に整理されたノートをとっている人は、論理的に考えることができると感じたようです。

それに気づいてから“頭のいい人のノートのつくり方”を真似て、やり方や思考法をパクりまくった結果、以前は偏差値35だったにもかかわらず東大に合格。かくして、上述した「隔たりはなんなのか」という疑問に対する答えが「ノート」であることに気づいたというわけです。

そこで、そうして得たノウハウを凝縮したのが本書。きょうはそのなかから「メモノート」、すなわち「メモをとって整理し、理解しやすくするためのノートのつくり方」を示した第2章「メモノートの作り方」内の「メモノートを作るには、どうすればいい?」に焦点を当ててみたいと思います。

まずは「タイトル」をつける

仕事の場においても、メモをとらなければならないタイミングは必ず訪れるもの。しかし、そこで油断してしまうと、頭も整理できず、あとから振り返ってみても理解できないようなものができあがってしまうと著者は指摘しています。

たとえば、会議が終わったあとにこんなメモを残していたとしたら?

・霜月さんは料理が得意なので料理を担当

・7月4日の晩から1泊2日でコンドミニアムの宿を借りている

・交流会がメインなので、積極的に新メンバーの進藤さんを中心に据えること

・買い出し班は1課のメンバーが担当

・参加費は1人5000円

・この際には料理担当の霜月さんが指揮を取ること

・パーティーグッズ関連の手配は2課が担当し、青山さんが指揮

・18時からパーティー開始、時間厳守、遅れる場合は常守さんに連絡を

(45ページより)

これでもわからなくはないものの、整理されていないため頭には入りにくいかもしれません。では、次のような議事録だったらどうでしょう?

【新メンバー交流会について】

〇概要

新メンバー進藤さんを迎える交流会を行う

●日時・費用

7月4日18時〜 1人5000円

◉時間厳守、遅れる場合は常守さんに連絡を

●場所

コンドミニアム

●各担当 リーダーは傍線

買い出し→1課メンバー:霜月さん 正岡さん 常守さん

パーティーグッズ→2課メンバー:青山さん 進藤さん 須郷さん

◉料理担当は霜月さん

(46〜47ページより)

これならわかりやすいはず。なお、先のメモとの違いが「タイトル」。メモノートはまず、タイトルや見出しをつけることから始まるわけです。(44ページより)

「順序」を立てる

もし目次のない本があったとしたら、あるいは1行も改行されていない長文がLINEで届いたら、「読みたくない」と感じるはず。そこでカオスな状態を整理して、「秩序」のある姿にすることが必要。なお著者は、ノートに必要なのは「アルファベット順」のような「順序」だと考えているようです。

カオスな状態のいろいろな情報を「aの単語」「bの単語」「cの単語」と、一定のルールに則ってタイトルをつけて、順序立てて説明していく必要があるのです。(69ページより)

したがって、メモノートにおける分解・整理の最終ゴールは「タイトルをつけて順序立てていく」ことになるそう。(48ページより)

交ざった情報を「分解」する

雑然としたノートを秩序のあるわかりやすいものに整理しなおすことには、「交ざった情報を分解できる」というメリットもあるようです。文章を書いたり情報を伝えたりする際に気をつけるべきは、情報が交ざってしまわないようにすることだそう。

たとえば、働いているレストランで、店長からこんなことをいわれたらどう感じるでしょう?

「この前、このレストランに対して『注文をした商品が届くまでの時間が遅い』というお客さんからの声があって、自分も前々から調理時間が長いと思っていたので、今度から調理の時間を短縮できるような調理器具の導入を進めようと思う」

著者によれば、この提案の問題点は複数の情報を交ぜて語っていること。「注文をした商品が届くまでの時間が遅い」という声があったのは「厳然たる事実」ですが、「調理時間が長いと思っていた」のは店長の感想。それを前提とした「今度から調理の時間を短縮できるような調理器具の導入を進めようと思う」という部分も、店長の想像に基づいた「解決案のひとつ」でしかないわけです。

このように、「厳然たる事実」と「想像に過ぎない事象」が交ざってしまうと、結果的に明後日の方向に物事が進んでいってしまうかもしれないのです。(53ページより)

交ぜてはいけない情報が交ざると危険ですから、交ざった情報をきちんと分解し、ひとつひとつの文・事実と事象などに分けていくべき。そうすることで、頭のなかが整理されていくわけです。(50ページより)

ノートを上手につくることができれば、頭のなかを整理して、あとから見なおすときにきっと効果が出るようになる。つまりはノートこそが、頭のよさの源泉だのだと著者は断言しています。そんな本書で明かされたノート術を生かしてみれば、仕事におけるパフォーマンスも上がるかもしれません。

Source: ダイヤモンド社

メディアジーン lifehacker
2023年10月30日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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