『食で巡るトルコ』岡崎伸也著
[レビュアー] 産経新聞社
トルコ共和国建国100年の今年はトルコに関する本が続々と刊行されているが、村々の郷土料理を網羅した本は珍しい。
広大な領土を支配したオスマン帝国時代の名残で、バルカン半島などからの移民の住む村が各地にあり、食文化を豊かにしている。隣国のジョージア語に近い言語を持つ少数民族のカタクチイワシを使ったピラフや、紀元前から南東部に住むキリスト教徒の少数民族の12使徒を象徴するパンも。代表的菓子バクラワは、本場とされる南東部の県で教わった食べ方を紹介。レシピは載せていないが、カラー写真から食の豊かさと多様性が伝わる。(阿佐ケ谷書院・3080円)