『バロック美術』
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『バロック美術』宮下規久朗著
[レビュアー] 産経新聞社
17世紀西洋の動的で劇的なバロック美術について、7つのテーマに分けて考察した概説書。
かつてバロックという言葉は、ルネサンス以来の端正で調和のとれた古典主義に相反するものとして否定的な意味で用いられた。だが、戦争や感染症がもたらす社会不安を反映し、絶対王政のきらびやかさや市民社会の現実性などとも結びついたダイナミックな美は近代に再評価。カラヴァッジョら巨匠の名作は日本で人気がある。
本書は代表的絵画だけでなく都市や建築と一体となった総合芸術としてのバロックも読み解いており、より深い理解に誘う。カラー図版満載。(中公新書・1375円)