我慢せず、嫌われない「感じのよい伝え方」3つのヒント

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感じのよい伝え方

『感じのよい伝え方』

著者
宮本佳実 [著]
出版社
すばる舎
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784799111727
発売日
2023/10/31
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

我慢せず、嫌われない「感じのよい伝え方」3つのヒント

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

どんな相手も味方になる 感じのよい伝え方』(宮本佳実 著、すばる舎)の著者は、起業家・セミナー講師・コンサルタントであると同時に「新しい働き方・生き方」を提案する仕事に携わっている人物。よい人間関係をつくる考え方や方法を周知することにより、スタッフが生き生きと働く環境を実現しているのだそうです。

とはいえ20代のころは、人間関係に悩んでいたようです。「誰とももめたくない」という思いから誰に対してもいい顔をしていた結果、人から「誰の味方なの?」といわれるようになり、疲れ切ってしまったというのです。

そうしたことが積み重なっていった結果、会社と人間関係に恐怖心を抱くようになってしまったのだとか。

そうした経験もあって、私はその後、約10年の司会業や、対面コンサル、会社でのチーム作りなどさまざまな人生経験を積み重ねながら、恐怖心を抱くことなく、気持ちのいい人間関係をつくれるような「接し方」や「伝え方」を見い出していきました。そして気づくと、多くの方からその「人に嫌われない会話術」について知りたいと言ってもらえるようになったのです。(「はじめに」より)

つまり本書においても、そうした経験のなかから得た“伝え方のメソッド”を明らかにしているわけです。

重要なポイントは、「きれいに話すこと」ではなく、「相手も自分も我慢のない心地よい人間関係を築く伝え方」=「感じのよい伝え方」を伝えようとしている点。

ただ小手先のテクニックを並べたのではなく、あくまでも自分自身の経験から導き出されたノウハウを紹介しているわけです。そんな本書の第1章「我慢のない心地よい人間関係を築く『伝え方』」のなかから、きょうは「『伝え方』の3つの基本ポイントを押さえよう」に焦点を当ててみたいと思います。

「伝え方」の3つの基本ポイントとは?

本書において著者はまず、「感じのよい伝え方」を習得するための3つの基本ポイントを明らかにしています。

① 「人がどう感じるか」を考える

② 「自分はどうしたいのか」を明確にする

③ 合わない相手はいて当然と心得る

(17ページより)

ここからは、これらのポイントについての説明を確認してみましょう。(16ページより)

大前提は、“我慢”をやめること

本当は「自分はこうしたい」という思いがあったとしても、「相手に嫌われたくないから、口には出さずに自分が我慢すればいい」というような思いを抱いている方は少なくないかもしれません。

しかしそれでは、フラストレーションがたまっていっても当然。

「嫌われないかな」と考えているということは、会話をしている最中も、「この人は、私のことをどう思っているのかな?」と考えている状態です。

つまり、相手によく思われようと気を遣いすぎて、自分の言いたいことが言えない、ということですね。

それとは逆に、何も考えずに自分の思いをぶつけすぎて、人を傷つけるような発言をしてしまう方もいるかもしれません。

もちろんその人に悪気はなかったとしても、まわりから見れば、「もっとほかに言い方があったよね……」と思ってしまうようなパターンです。(18〜19ページより)

前者は「自分がどう思われるかを考えすぎている」、後者は「感情のままにことばを発してしまう」ということなので、まったく別物のように見えるかもしれません。

しかし、その行動の本質を探っていくと見えてくるのは、「相手の気持ちを考えていない」という共通の原因。つまり、上記の3つのポイントのうちの①「人がどう感じるか」を考えることが大切であるわけです。(17ページより)

人にやさしくても、なめられない会話術

「やさしいことばをかけると、人になめられて損をするのではないか」と悩んだり、逆に「私の意見はきっと通らないから、もっと強くいわなければ」と肩に力が入ってしまうこともあるでしょう。

でも、自分自身も話し方も、いまのままで人になめられずにしっかりと意見を通す方法があるのだそうです。

それは、自分の意思を明確に表すこと。

上記3ポイントのうちの②「自分はどうしたいのか」を明確にすることが重要なのです。そうすれば、やさしい口調のままで、相手もこちらのいいたいこと(本当の気持ち)をきちんとわかってくれるようになるはず。

自分の考えを曖昧にして「角が立ちそうだし、どっちでもいいや」と妥協してしまうと、当然ながら相手も「これでいいのかな」と思ってことを進めてしまうもの。だからこそ少しでも「違うな」と思うところがあるのなら、それを伝えるべき

気持ちを明確にして「意見」に落とし込み、それを相手に対して穏やかにやさしく伝えれば、「相手のいいように使われているのかも…」と悩むことが激減するわけです。(22ページより)

「合わない相手」はいて当然

どれだけこちらが歩み寄ろうとも、「合わない相手」はいるもの。

それは当然のことで、世の中の人全員に好かれることなどできないのです。したがって、③「合わない相手はいて当然」と心得ておくことは大切。「この人とは合わないな」と感じたら、距離を置き、連絡や会う回数を少しずつ減らすことも必要だということ。

著者も、無難な意見を持っているときより、「自分が本来伝えたい意見」をはっきり持つようになってからのほうが、自分に好意を持ってくれる人が増えたそう。つまり自分自身の考えが明確になったことで、まわりの人に「この人はこういう人だ」と伝わって、「好き」「嫌い」「合う」「合わない」という感情を持ってもらいやすくなったということです。

したがって、以下の3点を踏まえる必要はあるはず。

① 「合わない」と思うことを自分の中で許す

② 少しずつ距離をとる(連絡や会う頻度を減らす)

③ 感じよく自分の意見を伝えるようにする

(30ページより)

これらを意識しておけば、一緒にいて心地よい人間関係をつくっていきやすくなるわけです。(26ページより)

「我慢はしたくないけれど、嫌われたくもない」という、“誰もが抱える一見矛盾した思い”を、プラスの方向に変えていこうと著者は提案しています。本書は、そのために大きく役立ってくれるはず。人間関係において我慢を重ねてきた方は、手にとってみるといいかもしれません。

Source: すばる舎

メディアジーン lifehacker
2023年11月14日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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